準重点には北欧、ブラジル
観光庁、日本政府観光局(JNTO)は4月から、ビジット・ジャパン(訪日旅行促進)事業の重点市場に中東地域(8カ国)とメキシコを計画通り追加した。中東地域を一つの市場と数えると、重点市場は22市場となった。新型コロナウイルスの世界的な流行で直近の誘客を目指す海外向けのプロモーションは見送っているが、2020年度補正予算案に訪日旅行の回復に向けた予算を計上するなど、感染の終息状況を見極め、誘客が可能となった国・地域から再開したい方針だ。
新たな重点市場のうち中東地域は、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、トルコ、イスラエル。
中東地域とメキシコからの19年の訪日旅行者数はいずれも過去最高を記録した。中東地域8カ国合計で前年比17.6%増の9万5千人、メキシコが同4.8%増の7万2千人だった。
重点市場化によるプロモーションの強化で訪日旅行者数の増加、消費の拡大が期待される。UAEのドバイ、メキシコのメキシコシティには、JNTOの事務所開設も準備している。
重点市場化に向けて市場調査や試行的なプロモーションを行う準重点市場には、北欧地域(4カ国)とブラジルを加えた。北欧地域は、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、ノルウェー。19年の訪日旅行者数は、北欧地域4カ国合計で前年比6.3%増の14万1千人、ブラジルは同7.6%増の4万8千人だった。
準重点市場は従来のオランダ、スイス、ニュージーランドと合わせて、北欧地域を一つの市場と数えると、合計で5市場になった。
政府は7日閣議決定した補正予算案に、JNTOによる「訪日外国人旅行客の需要回復のためのプロモーション」として96億円を計上した。専門家の意見を踏まえて新型コロナウイルスの感染終息を見極めた上で、誘客再開の是非を判断。再開可能となった国・地域から順次プロモーションを開始する。
現状では世界的に移動の制限策が講じられており、航空路線も縮小している。日本国内の国際線の約9割が運休していることから、感染終息後の運航再開に際して各航空会社が行うプロモーションと連動した大規模な共同広告を展開する予定。
インバウンドの需要回復策の前に、国内の感染終息後に行われる政府の国内旅行キャンペーンなどで活気を取り戻した日本の観光地の様子もウェブサイトやSNS、インフルエンサーの招請などを通じて海外に発信し、訪日旅行のV字回復につなげたい考えだ。