観光庁はこのほど、全国の宿泊施設を対象に実施している宿泊旅行統計調査の2016年の確定値を発表した。年間(1~12月)の延べ宿泊者数は4億9249万人泊で、調査開始(07年)以降で過去最高を記録した15年(5億408万人泊)に比べると2・3%減となった。日本人の延べ宿泊者数は減少したが、外国人延べ宿泊者数は過去最高となった。
日本人延べ宿泊者数は、前年比3・5%減の4億2310万人泊。東日本大震災の翌年、12年以降の過去5年間で見ると、4番目の水準だった。
観光庁は、日本人延べ宿泊者数について「前年に比べてゴールデンウイークやシルバーウイーク(秋の連休)の日並びが悪かったことや、熊本地震、台風などの影響により減少した」と分析。
また、15年度には、国の交付金を活用したプレミアム付き旅行券・宿泊券が全国で発行され、宿泊需要が喚起されたとみられ、その反動減もあったと推測される。
外国人延べ宿泊者数は、同5・8%増の6939万人泊。延べ宿泊者数全体の14・1%を占めた。16年の訪日外国人旅行者数が前年比21・8%増の2404万人となったことに伴い宿泊者数が増加した。宿泊者数の伸び率が旅行者数の伸び率ほどではない要因は、クルーズ船の観光上陸の増加、違法民泊の広がりなどを含めて宿泊施設以外での滞在が増えたためとみられる。
延べ宿泊者数全体を都道府県別に見ると、前年の実績を上回ったのは14道府県だけだった。延べ宿泊者数が上位の都道府県は、(1)東京都(2・7%減の5751万人泊)(2)北海道(3・0%増の3355万人泊)(3)大阪府(2・1%増の3101万人泊)(4)千葉県(3・1%減の2188万人泊)(5)静岡県(5・7%減の2124万人泊)―など。
外国人延べ宿泊者数に限ると、38都道府県が前年の実績を上回った。三大都市圏(東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫の8都府県)では前年比3・4%増、地方部(三大都市圏以外)では同9・5%増となった。
外国人延べ宿泊者数が上位の都道府県は、(1)東京都(2・8%増の1806万人泊)(2)大阪府(11・6%増の1001万人泊)(3)北海道(16・2%増の655万人泊)(4)京都府(0・5%増の460万人泊)(5)沖縄県(4・7%増の386万人泊)―など。
国・地域別では、最多の中国が3・5%増の1687万人泊で全体の26・3%を占めた。以下は台湾が0・4%増の1053万人泊、韓国が14・8%増の774万人泊、香港が8・3%増の521万人泊、米国が13・0%増の429万人泊―などだった。