政府は3月30日、観光庁長官人事を発表した。民間から起用された溝畑宏長官が任期切れに伴い退任し、4月1日付で国土交通省の前海事局長の井手憲文氏が就任した。初代長官の本保芳明氏以来の現役官僚の就任となった。2012年度からスタートする新しい観光立国推進基本計画の施策の遂行、東日本大震災からの観光の復興などへの手腕の発揮が期待される。
観光庁発足から3代目の長官となる井手氏は、1976年、旧運輸省(現国土交通省)に入省。政策統括官、海事局長などを経て12年1月から大臣官房付。観光関係では、84年7月から国際運輸・観光局観光部旅行業課補佐官を務めた経歴がある。
退任した溝畑氏は、旧自治省(現総務省)出身で、大分を本拠地とするサッカーチームの運営会社社長を経て、10年1月に長官に就任。震災の発生を受けて旅行の自粛防止や訪日観光の回復に努めた。観光復興関係の事業の推進などのため、任期は予定の2年間に加え、3月末まで延長されていた。
井手 憲文氏(いで・のりふみ)東京大学法学部卒、76年運輸省(現国土交通省)に入り、航空局監理部国際航空課長、気象庁次長などのほか、外務省在ジュネーヴ国際機関日本政府代表部参事官などを経て08年7月から国交省政策統括官、10年8月から海事局長。12年1月から大臣官房付。愛媛県出身。58歳。
井手憲文長官