観光庁は、地方部におけるガイド人材の確保、育成について有識者会議を設置して検討を進めている。7月下旬をめどに中間報告を取りまとめる。観光庁の髙橋一郎長官は5月15日の専門紙会見で、ローカルガイド人材に関する質問に次のように答えた。
――有識者会議設置の狙いについて。
地域の歴史、文化、自然、暮らし、伝統などを感じられる観光コンテンツの造成を支援しているが、その際、観光コンテンツについて地域の魅力を深く伝えていくローカルガイドがいることで、より高付加価値化が図られると考えている。
これは日本人、外国人を問わないが、特に異なる文化的、歴史的背景を持っているインバウンドの旅行者に対して、その本質を深くかつ分かりやすく伝えるガイド、ローカルガイドの役割は非常に重要だ。
しかし、地方部においては、ガイドの報酬の低さ、あるいは繁忙期と閑散期の差などによって通年での就労が困難であるといった構造的な課題も相まって、ガイド人材の確保に苦慮されている状況も多々あると認識している。
なかなか人材確保が難しい、あるいは人材が限られる地方部において、特にガイド人材を無理のない形で持続的に確保、育成して観光コンテンツの持続的な提供、あるいは地域消費の向上に結びつけるために、地域の状況や特性に応じてどのような取り組み、ビジネスモデルが必要なのか。これらを検討していくために有識者会議を立ち上げた。
地方誘客を進める上で地域の魅力を伝えるローカルガイドは非常に重要だ。地域の観光振興を戦略的に進めるには、ガイドをしっかりと確保できるよう取り組むことが必要となっている。
――ガイドの人材像について。
ガイドの皆さまの働き方にもいろいろある。自然が対象か歴史文化が対象か、また、専業化か副業か、さまざまなあり方がある。そういう意味ではもともと地域でガイドをされている方々や地域で観光業に従事されていた方々に加えて、例えば、地域にほれ込んで移住されてきた方がガイドとして活躍されるとか、あるいは農林水産業や飲食業に就いている方がその地域の魅力をさらに深く伝えていくために副業的にガイドをされるとか、海外駐在経験のある方が語学力を生かしてセカンドキャリアとして新たにガイドを始めるとか。
いずれにせよ、その地域で活躍するローカルガイドが一層魅力的な職業となって、旅行者からも地域の関係者の方々からも頼られる存在になってほしい。ローカルガイド人材を確保、育成するべく、検討を急いでいきたい。
――国の支援策について。
今の段階で申し上げるとすれば、例えば、副業の形で取り組まれる方々なども含めた多様な就労環境を念頭に入れた人材の確保、ガイド経験の乏しい方々でもチャレンジできるような育成カリキュラムなど、まとめて言えば就労環境の整備ということになる。ガイド付きコンテンツの消費単価の向上も大事なので、観光庁としてどのような支援が必要なのか、この有識者会議の検討を踏まえながら具体的な支援措置をしっかり考えていきたい。