神奈川県は5月20日、観光消費の経済波及効果に関する推計結果を発表した。県内の観光消費額は6517億円。生産波及効果は8615億円で付加価値効果は4810億円。雇用効果は8万7千人に上り、919億円の税収効果があると推計した。神奈川県観光産業への直接効果は5618億円だった。
観光客の行動や消費、観光関連事業者の取引実態や経営課題などを明らかにするため、08年の特定期間、観光客と観光関連事業者に対し調査を実施。宿泊客5513人、日帰り客5018人と2768事業所から回答を得た結果などに基づき算出した。
観光消費は、直接効果が及ぶ運輸、飲食、宿泊といった業種のほかに、商業、食料品、通信、放送など、さまざまな業種に経済効果が波及していた。
観光消費額の内訳は日帰り観光客1人あたりの平均消費単価が4682円、宿泊観光客が3万511円だった。観光消費の総額は日帰り客が3595億円、宿泊客が2922億円となった。県では「調査方法が異なるため単純比較はできない」としながらも、他の自治体などの調査結果と比べるとやや低めの数字と分析する。
要因に日帰り客の多さや夫婦など少人数、個人旅行が中心になっていることを指摘。日帰り客は観光客全体の88.1%。宿泊客は神奈川県内と、東京都、埼玉県、千葉県といった近隣都県からで約半数を占める。 今後、波及効果を高めるための取り組みとして県では(1)観光客の滞在時間を延ばす(2)宿泊のリピーターを増やす(3)事業者による原材料の県内調達率を高める──などを挙げる。