観光系の32大学が情報交換


 観光系の学部、学科を持つ大学の学長や学部長が出席する「観光教育に関する学長・学部長等会議」=写真=が5月29日、東京・池袋の立教大学で開かれた。全国32の大学をはじめ、観光庁、関係省庁、産業界から約70人が参加。大学からはカリキュラムの実践例などについて発表があったほか、観光立国の実現を支える人材育成に向けて産学官の関係者が情報交換を深めた。

 観光庁が昨年6月に懇談会として開いた会合を大学との共催形式にして年1回の開催に。共催の大学は持ち回りで今年は立教大学が担当した。

 立教大学の白石典義副総長は「若い人たちにとって観光は夢のある分野。観光教育を充実させ、観光が日本の中心の産業としての地位を築けるようにしたい」。観光庁の甲斐正彰審議官も「観光が成長戦略として期待を集める中で人材育成が最重要課題。産学官の連携をいっそう深めたい」と語った。

 大学の取り組み事例では9大学が発表を行った。

 立教大学観光学部は、1年次に実施している「早期体験プログラム」を紹介。学生に問題意識を持ってもらうために観光の現場を知る内容で、06年度に試行、07年度から正課の科目にした。今年度は夏、秋合わせて海外の現地を訪れる11コースを予定。「早い段階で現場を知ることで以降の研究テーマ探しにつながる」などの成果があるという。

 長野大学環境ツーリズム学部は、現場で調査や演習を行うフィールド学習を重視。長野県上田市の観光行政との連携型授業では、観光パンフレットの英訳などに携わるほか、上田市をロケ地としてヒットしたアニメーション映画「サマーウォーズ」にちなむ観光をPRするウェブサイトで英訳や中国語訳に参加した。

 このほか、琉球大学は、観光科学科、産業経営学科のカリキュラムモデルを説明。沖縄という地域性やアジアを中心とする国際性を軸に、環境保全や地域の経済発展、ヘルスツーリズムなどの視点から持続可能型観光を学ぶ「サステナブル・ツーリズム」の基礎科目、観光経営のマネジメント能力を養成する「ツーリズム・マネジメント」の各科目などを紹介した。

 
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