11月の訪日外客数は、前年同月比13.1%減の55万1900人だった。日本政府観光局(JNTO)が12月16日、推計値として発表した。東日本大震災以降の前年同月に対する下げ幅は縮小傾向にある。中国は震災後初めてプラスに転じ、11月として過去最高を記録するまでに回復した。一方で韓国は円高ウォン安の影響も受けて3割減だった。
震災後の前年同月に対する減少率は、3月(12〜31日)が72.7%減、4月が62.5%減、5月が50.4%減、6月と7月が36.1%減、8月が31.9%減、9月が24.9%減、10月が15.3%減で推移。今年1〜11月の累計では、前年同期比29.1%減の564万7100人となった。
中国の11月の訪日客数は、35.0%増の9万2300人。これまで過去最高だった09年11月(8万1462人)を上回った。原発事故に伴う放射能への警戒感は依然あるが、個人観光査証(ビザ)の要件緩和、格安の旅行商品の販売などが需要喚起につながったとみられる。増加幅の大きさには、前年の尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の影響による落ち込みからの反動も表れている。
韓国は32.1%減の13万4千人。震災以降、4月を底に減少幅は縮小しているが、9月から3カ月連続で3割台の減少。放射能への警戒感が影響しているほか、円高ウォン安がマイナス要因になっている。9月に30カ月ぶりに1円が14ウォン台になって以来、14、15ウォン台で推移し、訪日旅行意欲を冷え込ませている。
このほかの主な市場は、台湾が3.6%減の8万6200人、香港が22.8%増の3万3700人、米国が10.1%減の5万3100人、豪州が20.3%減の1万2100人など。
出国日本人数7%増の149万人 5ヵ月連続の増加
11月の出国日本人数は、前年同月比6.5%増の148万8千人だった。今年7月以降、5カ月連続の増加。円高が海外旅行にはプラス要因だった。11年1〜11月累計では前年同期比1.2%増の1551万6千人になった