今年3月の訪日外客数は、前年同月比31.7%増の201万人となり、月間で初めて200万人を突破して過去最高を記録した。日本政府観光局(JNTO)が4月20日に推計値として発表。継続的な訪日プロモーションの効果に加え、桜を観賞する観光の人気、欧米を中心とするイースター休暇の需要増加などが好調要因となった。
市場別では、香港、フィリピン、米国、カナダ、英国、ドイツが月間の過去最高。ロシアを除く主要な訪日市場13の国・地域が3月としての過去最高を記録した。
東アジアでは、中国が47.3%増の49万8100人。クルーズ船の寄港が増加。桜のシーズンを狙ったプロモーションが訪日意欲を喚起。1〜3月累計は147万2100人で全市場で最多。
韓国は39.5%増の37万4100人。ソウル・釜山発を中心とした航空路線の拡大などで好調に推移した。JNTOでは「韓国では出国者数が増加。中でも訪日者数の伸びが顕著」と指摘した。
台湾は18.2%増の32万8400人。航空路線の拡充が桜観光の需要を後押ししたほか、沖縄へのクルーズ船の催行も増加要因となった。2月からは台湾のタレントを起用したテレビCMを放送し、需要を喚起した。
香港は37.3%増の16万1千人。航空路線が拡充された中国地方、イースター休暇に桜の開花が予想された九州、四国、関西が人気だった。
北米、オセアニアでは、米国が21.5%増の11万6200人。航空路線の拡充、訪日プロモーションなどが高い伸び率につながった。JNTOは3月に日本文化を紹介するイベントをニューヨークで開き、北海道、東北をはじめ日本の観光資源をPRした。
豪州は43.3%増の4万1800人。昨年秋から展開した桜シーズンの訪日旅行を促進するプロモーションが奏功した。
欧州では、英国がイースター休暇などで旅行需要が高まり、37.7%増の3万4700人となった。フランスは22.2%増の2万2100人、ドイツは14.8%増の2万1100人だった。
東南アジアでは、タイが7.9%増の9万9700人で3月の過去最高を記録したが、需要を喚起する連休などの要因がなく、伸び率は1桁にとどまった。フィリピンは3万7500人で、LCC(格安旅行会社)のジェットスター・ジャパンのマニラ—成田線開設などが追い風となり、40.0%増と大きく伸びた。
訪日外客数全体の1〜3月累計では、前年同期比39.3%増の575万2800人に達した。4月の動向についてJNTOは、桜観光の人気をはじめ、中華圏の清明節やタイのソンクランといった休暇などを好要因に挙げているが、熊本地震の影響を踏まえて状況を注視するとしている。