北海道運輸局は、大規模災害の発生時に外国人観光客に必要な情報を集約、提供するためのガイドライン作りを観光など関係機関との連携で進めている。災害や交通機関の情報を観光施設などに一元的に提供し、外国人観光客らのスムーズな避難や移動につなげるのが狙い。
昨年9月の胆振東部地震では全道のブラックアウト(停電)が発生。観光客に地震や交通機関の情報が届かず、外国人客らが行き場を失う事態が起きたことから、多言語による情報提供の仕組み作りが課題になっていた。
運輸局では、道や札幌市をはじめ、宿泊、旅行、交通、大学、報道など20機関で構成する検討会議を設置。2月末までにガイドラインの素案を作成し、3月上旬に各機関や観光客に情報を伝達する検証訓練を実施。同下旬にセミナーを開き、道内各地の関係者に説明し、災害時に運用する。
ガイドラインの対象地域は札幌圏。大規模な災害で観光客らの移動や帰国が困難となる恐れが生じた際などに適用する。
観光関係などの各機関では、あらかじめ定められた項目の情報を運輸局に報告し、運輸局はそれらの情報をテンプレートに集約、整理して各機関にフィードバック。外国人客への対応につなげる。テンプレートは英語、中国語(簡体字、繁体字)、韓国語、日本語の4カ国語で作成。交通機関や避難所の運行や開設状況を〇×で表示する。情報は随時更新し、ホームページやSNSでも発信する。
北海道運輸局は、「外国人観光客は言葉や地理に不案内であるだけに、災害時の不安は大きい。ガイドラインの運用を通じて避難や移動に必要な情報を提供し、観光客の的確な判断や各機関の迅速な被災者支援につなげたい」と話している。
検討会の様子(2月25日)