人手不足など不安材料も
新型コロナウイルスの水際対策の大幅緩和で、インバウンドが回復局面に入ってきた。10月の訪日外国人旅行者数は約50万人で9月の約2.4倍に増えた。そのうち観光目的の旅行者数は約29万人で、9月の約15倍と急増した。コロナ禍前の2019年10月に約250万人が訪日していた実績を踏まえると、まだ2割程度を回復したに過ぎないが、国際線の復便も各地で進んでおり、政府はプロモーションの本格再開など誘客強化に乗りだしている。ただ、インバウンドのV字回復には課題や不安材料もあり、これからの取り組みが重要だ。
10月11日から観光目的の個人旅行が解禁されるとともに、査証(ビザ)の免除措置が再開され、1日当たりの入国者総数の上限も撤廃された。日本政府観光局(JNTO)によると、10月の訪日外国人旅行者数(推計値)は49万8600人で、19年同月比は80%減だが、21年同月と比べると約23倍に増えた。
訪日外国人旅行者数は、10月1~10日の期間は1日当たり約2千人だったが、水際対策の緩和後の11~31日は1日当たり約1万3千人に増加した。さらに11月1~7日の期間は1日当たり約2万人に増えた。
10月の訪日外国人旅行者数のうち、ビジネスや留学などを除く、観光目的の入国者数(出入国在留管理庁)は28万8909人で、9月の1万9013人から大幅に増加した。増加要因について観光庁の和田浩一長官は「水際緩和と円安の効果が相まったものと認識している」と指摘した。
国際線の復便も進んでいる。国土交通省によると、22年冬ダイヤ(22年10月30日~23年3月25日)の旅客便の運航便数は週1920便(当初の1週目の便数)で、コロナ前の19年冬ダイヤの5219便と比べると36.8%にとどまる。しかし、前の期に当たる22年夏ダイヤ(679便)の約2.8倍、前年同期の21年冬ダイヤ(593便)の約3.2倍に増えている。
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