赤羽一嘉国土交通大臣、「訪日環境整備に注力」


年頭の抱負を語る赤羽国交相

DMOの地域づくり期待

 赤羽一嘉国土交通相は、2020年の年頭に当たって、専門紙が加盟する国土交通省交通運輸記者会の共同インタビューに応じた。観光政策では、19年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会に伴う観光客の長期滞在などの成果を強調。東京オリンピック・パラリンピック(オリパラ)を控え、訪日外国人旅行者数の政府目標、20年の4千万人、そして30年の6千万人の達成に意欲を示した。訪日外国人の受け入れ環境整備、バリアフリー化を推進するとともに、DMOの形成、確立を通じた観光地域づくりに期待した。

ラグビーW杯

 「欧州などの旅行者に長期滞在してもらった。日本の観光政策は長期滞在を課題としながらなかなか実現できず、長期滞在に対応するホテル、旅館などの整備も進まなかったが、W杯では皆さんが長期間滞在し、いろいろな地域を訪れ、交流が生まれた。釜石市では台風で試合がキャンセルになったが、カナダの選手がボランティアで泥かきをしてくれた。事前キャンプ地の北九州市とウェールズでは交流も深まった。インバウンドの数字(目標)を掲げることは、観光政策を確立させる上で非常に大事だが、観光というのは、文化、芸術、スポーツを通じた交流、相互理解の促進など非常に豊かなものだ。ラグビーW杯ではそれが感じられた」

東京オリパラ

 「訪日外国人旅行者にできるだけ長期で来てもらえるようにしたい。ラグビーW杯で訪日した欧州の方も日本は良かったということでたくさんリピーターとして戻ってきてもらえると思う。多言語対応、Wi―Fi、トイレの洋式化など、受け入れ環境の整備を具体的に進めなければならない」

 「東京オリパラのレガシーは、バリアフリー、ユニバーサルデザインの社会、真の共生社会の実現だ。新幹線のバリアフリーについても、これまでの延長線上ではなくて、革命的に変えてほしいということを各社の社長に強く申し入れたので、目に見える形で変えていきたい」

観光地域づくり

地方の誘客拡大

 「日本は各地域に観光資源がある。先日、ミス・インターナショナルの方々が表敬訪問に来られた。日本に2週間ぐらい滞在されていたので、日本のどこが良かったか質問したら、新潟に行って餅つきをやったり、その餅やお米を食べたり、そういう素朴な交流がすごく良かったと。東京から新幹線で1時間ほどでそういう所があることが、すごく印象的だったとみんなが言っていた。そうした風景は新潟だけでなく、日本各地にある。スノーリゾートの野沢温泉、中山道の妻籠などでも交流が進んでいる。取り組み方によってうまくいく地域はまだまだある。それには、今、一生懸命に取り組んでいるDMOだ。うまくいっている観光地域の多くは、きちんとしたDMOの組織ができている。12月に日中観光代表者フォーラムで八ケ岳の麓に行ったが、八ケ岳にも立派なDMOがあり、彼らが言うのは『官に頼らない』ということで、地域の人が主体となって地元の魅力づくりに取り組んでいる。こうした取り組みを増やすとともに、国交省として、外国人がストレスを感じない、障害者がストレスを感じないようなアクセスの施策などを責任を持って進める」

訪日目標4千万人

30年に6千万人へ

 「最初は訪日外国人旅行者数4千万人、6千万人の目標はチャレンジングな数字だと思っていたが、今はやれるし、やらなければいけない数字だと考えている。例えば、沖縄には国際的なリゾートの可能性がある。佐賀県には、タイから多くのお客さまが訪れる祐徳稲荷神社があるし、中国の西安から春秋航空が佐賀空港に就航した。いろいろな地域に可能性がある」

 「韓国の(訪日旅行者数の減少)問題も改善に向けて努力しているが、リスクを分散させ、いろいろな国・地域から来てもらう。遠くから来てもらえれば、長期滞在も増える。そうしたことを進めていかなければならない。日本には魅力的な地域があるので、そうしたことが可能になるよう外国人の受け入れ環境整備に一生懸命取り組む。そうすれば目に見えて変わってくる」

首都圏空港

 「羽田空港は3月29日から新飛行経路の運用を開始し、国際便を増便する。羽田未就航の大都市を多数抱える米国や、中国、ロシア、豪州など合計9カ国・地域に増枠分を配分した。これからを展望すると、多くの外国人旅行者が訪日する。羽田空港の活性化と同時に、成田空港も3本目の滑走路を計画しているので、6千万人に向けてしっかり取り組んでいきたい」

【向野悟】

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