近畿日本鉄道(近鉄)が、映画やテレビ番組の撮影誘致に力を入れている。今年度から撮影場所の提供などのマッチングなどを行う専門部署を設立。撮影可能な車両や施設を紹介したり、撮影隊をサポートしたりしている。近鉄沿線にある観光地や歴史的建造物などのPRなども併せて行い、保有する施設の露出機会の増大による知名度とイメージの向上と共に、沿線地域の活性化を図りたい考えだ。
近鉄は国内の私鉄では最長の路線網を持ち、伊勢志摩ライナーなど個性ある車両を運行する。沿線には京都、奈良、伊勢といった固有の歴史文化を持つ地域や、紀伊山地に連なる豊かな自然があるほか、京都、大阪、名古屋の大都市を結んでいることから、駅隣接の大規模商業施設やホテルなどもある。「志摩スペイン村 パルケエスパーニャ」などのテーマパークや料亭、ロープウエイなどグループで運営する施設も多様だ。
4月1日に立ちあげた「近鉄ロケーションサービス」では専用パンフレットを製作し、撮影可能施設を製作会社などに把握してもらいやすくしたほか、NPO法人ジャパン・フィルムコミッション主催のイベント「全国ロケ地フェア」に参加するなどして取り扱い拡大に力を入れる。今年度は年間30件の取り扱いを目指すが、10月末ですでに目標を達成するなど好調だ。
併せて近鉄東京支社でも「真珠王 御木本幸吉の生涯」など、番組制作例を沿線の歴史にスポットを当てて紹介するパンフレットを作成=写真。近鉄になじみのない関東エリアからの撮影利用を後押ししたい考えだ。