全国旅行業協会(ANTA)は4月1日から、重大事故が発生した際に事故対応や費用を支援する新たな補償「重大事故サポート付 旅行災害補償制度」を始める。新たな補償制度は、旅行者への被害者補償に加え、重大事故発生時に事故対策本部の設置や被災者家族の支援、マスコミ対応など事故処理に一貫して対応する。
ANTAは2016年1月に発生した軽井沢スキーバス事故を受け、有事の保険に加えて平時の危機管理や有事のサポート内容の充実を求める加盟会員からの声に応え、新たな補償制度を準備した。
従来の制度は、旅行特別補償保険、旅行傷害保険、旅行事故対策費用保険の三つの旅行系保険商品とANTA独自の見舞金制度を準備。会員数約5600社のうち約3700社が利用し、年間約640万人の旅行者のサポートを行ってきた。
今回の新補償制度では、これまで補償されていなかった事故対策本部の設置、情報収集、被災者家族への対応、マスコミ対応、現地通訳の手配、弁護士の相談、緊急支援に関わる人などの体制や費用を補償する。また、平時には重大事故対応マニュアルの策定・提供、平時と緊急時対応に関するセミナー、危機管理に関する各種相談受け付け、アドバイス、海外安全情報の配信を行う。
13日にはメディア向けの説明会を開催。有野一馬専務理事は「軽井沢事故後、遺族と意見交換を行い、旅行会社へのサポートの必要性を感じていた。新補償制度では、費用の補償に加えて重大事故のサポートが付く。仮に1人で運営する会社が重大事故を起こした場合でもサポートすることが可能となる。保険とサービスを組み合わせた新補償制度は保険業界でも画期的なことだ。補償制度に入っていない会員にも広めたい」と述べた。
今後は、加盟社に補償制度の説明を行い、危機管理体制の強化と加入を促していく。