新型インフルエンザの国内発生に伴う旅行の敬遠ムードを払しょくしようと、政府は6月26日、観光立国担当大臣名で“旅行安全宣言”を出した。風評被害は日本人の旅行、外国人の訪日旅行、双方に大きく影響していることから、大臣メッセージを国内外に発信して旅行者の誤解や不安を解消する。一方、観光庁は感染症の流行などへの対策として、観光分野の危機管理マニュアルを作成することにした。
国内発生から1カ月余り。金子一義観光立国担当大臣(国土交通大臣)のメッセージは、国民の夏休み旅行、中国に対する個人観光ビザの発給開始(7月1日)のタイミングを捉えて発表された。本保芳明観光庁長官は、6月の定例会見で「政府全体の新型インフルエンザ対策の枠組みの中で出された『観光は大丈夫』というメッセージだ」と強調した。
大臣のメッセージでは、「新型インフルエンザを理由として旅行を自粛する必要はなく、基本的に感染防止の取り組みを個々にとることで、平時と同様に安心して旅行していただける」として、国民、外国人双方に「旅行をお楽しみ下さい」と呼びかけている。
メッセージの中では、5月22日に決定した政府の基本対処方針に「外出や集会、スポーツ大会等の自粛を要請しない」と明記してあること、国内感染者の累計989人(6月25日現在)のうち約7割にあたる664人がすでに治癒したことなどを説明している。
また、メッセージは、患者数が多く発生し、観光への風評被害が大きかった関西地方について、「関西地方でも平常を取り戻しつつある中で、兵庫県、神戸市、京都府など独自に安心宣言を行っている自治体もある」と触れている。
観光庁では、大臣メッセージを活用し、旅行を自粛する必要がないことを広くアピールする。海外に向けては、日本政府観光局(JNTO)の海外宣伝事務所などを通じて誤ったイメージを払しょくする。