魅力的な鉄道旅行の日本一を決める催しが1月23日、さいたま市の鉄道博物館で開かれ、JTB中国四国の「長州黒かしわを味わう!長門湯本温泉or俵山温泉に泊まる!貸切やきとり列車の旅2日間」がグランプリを受賞した。審査委員の井門隆夫さん(井門観光研究所)は「豪雨で被災した美称線を救うべく、地域自治体や協賛業者・関係団体と一致団結して企画した企画力に敬意を表したい」とコメントした。
この催しは「鉄旅オブザイヤー」(実行委員長・田川博己JTB社長)。旅行会社が造成する鉄道旅行商品の企画力を競うもので、今回で2回目となる。全国から64作品(商品)が寄せられ、実行委員会による第1次審査、外部審査員(委員長・関口知宏さん)による第2次審査を経て、グランプリを含めて5作品が選ばれた。
グランプリを受賞した作品はJTB中国四国山口支店の上田英夫さんと眞田直也さんが造った。
JR美祢線は10年7月の集中豪雨で、橋梁の橋げたや橋脚が流されるなど大きな被害を受け、1年以上もの間不通となっていた。今回のツアーは美祢線の運転再開を機に同路線の利用促進を図ることを目的に、沿線の観光素材を組み込んだイベント列車の旅。
沿線の長門市は全国でも有数の焼き鳥の街であることから、やきとり列車の誕生となった。2両編成の車両は満席で「当初は家族連れを想定していたが、家族連れは3割で、7割はお酒好きな年配者だった」という。
「ものすごくオジサン向けに見えるが、パンフレットもかわいいイラストを使い、各駅歓迎やイカ釣り、アイス責めなど飲み屋好き女子のこころをくすぐりまくり」(鉄旅ガールズ)、「ビール列車はたくさんあるが、焼き鳥をメーンにした列車は新しい。お客さんの笑顔が目に浮かぶ」(ママ鉄代表の豊岡真澄さん)など女性からの高評価が目立った。
表彰式では受賞者がにわとりの着ぐるみで登場し、場の雰囲気を和ませていた。また、10月にJR九州が運行を開始するクルーズトレイン「ななつ星in九州」に実際に乗務するクルーがプレゼンターを務め、クルーズトレインの最新情報も発信した。
準グランプリは日本旅行西日本営業本部と日本クルーズ客船の「欧亜国際連絡列車100周年記念号の旅 夏のウラジオストッククルーズCコース特別列車乗車プラン」、審査委員特別賞はクラブツーリズムの「鉄道でめぐる!日本一周の旅14日間」と「紅葉エクスプレスで行く秋色輝く北海道5日間」、JTB西日本の「サロンカーなにわ鉄道クルーズ 日本海の絶景を望む 山陰縦断ローカル線の旅4日間」が選ばれた。
にわとりの着ぐるみを着て記念写真に臨むJTB中国四国の社員