日本発祥の参加・体験型アート「トリックアート」。平面の絵が飛び出したり、角度により違う雰囲気の絵に見えたりする不思議なアートだ。東京・お台場と栃木・那須高原にあるトリックアートの常設館は、作品を見るだけでなく、写真に撮ったり、自由に触れたりとさまざまな体験ができる。思い出づくりとともに、芸術性を学び、発想力を養える体験・見学地と、中学や高校の修学旅行で人気を集めている。
人気の浮世絵をだまし絵に 東京トリックアート迷宮館
「東京トリックアート迷宮館」は、江戸をテーマにした和風のトリックアートをはじめ、多くの人気作品を展示する体験型の美術館。東京屈指の観光スポットお台場にあり、一般客や修学旅行客で年中にぎわっている。
館内に入り、まず目にするのは「江戸エリア」。「華やかな江戸の彩」をコンセプトに、色彩豊かで親しみやすいモチーフの、和風の作品を数多く展示している。
今年は「トリック浮世絵」と題して、浮世絵の名作をだまし絵にして展示。北斎の「神奈川沖浪裏」でサーフィンをしたり、子供たちと一緒に雪だるまを転がしたり、楽しみながら浮世絵を感じ、現実と絵が一体になったユニークな写真を撮ることができる。
また、忍者屋敷ではさまざまな仕掛けが隠されていて、「身長が変わって見える部屋」や「隠し扉」などを体験でき、自分が忍者になったような気分を味わえる。
次の「愉快な忍者とお化けエリア」では、忍者やお化けのトリックアートが来場者を出迎える。隠し扉などさまざまなトリックも仕掛けられていて楽しい。
隠し扉を抜けた先は「トリックアート名作ギャラリー」。過去の名作から最新作まで、バラエティ豊かな作品を展示している。
このほか「脳トレコーナー」では、クイズ作品や人気の高い隠し絵を展示。「グッズコーナー」では、来館記念のグッズを販売している。
トリックアート美術館だからこそできる“仕掛け”が楽しい「リアル謎解きゲーム」(別途料金が必要)も開催中。館内で展開されるストーリーをみんなで解いていく体験は、トリックをより不思議にしてくれるので、お勧めしたい。
2023年8月から新作も登場し、より仕掛けと謎が深まった。
▽東京都港区台場1の6の1、デックス東京ビーチシーサイドモール4階。TEL03(3599)5191。不定休で、午前11時から午後9時まで営業。入場料大人1200円、中学生以下800円。
忍者屋敷で身長が変わって見える?!
北斎の「神奈川沖浪裏」でサーフィン
「光とアートの世界」を体験 那須とりっくあーとぴあ
「那須とりっくあーとぴあ」は、国内最大のトリックアートのテーマパークだ。「トリックアートの館」「トリックアート迷宮?館」「ミケランジェロ館」の三つの施設で構成。さらに敷地内の体験館「那須ホワイトスタジオ」では、アートの制作体験ができるプログラムも用意している。
昨年、「トリックアートの館」がリニューアルオープンした。テーマは「大人女子が子供の頃に憧れていた空想の世界」。おとぎ話の世界を絵画で創り出し、光の演出によって、見る人に幻想的な空間を体験してもらう新しい取り組みだ。
物語のメインとなる二つのエリアが新たに誕生した。そのうちの一つ「海のエリア」では、ランタンが星に変わって空に流れていったりと、不思議な世界を体験できる。観覧者は夕焼けの海が広がる部屋を自由に歩き、気に入った場所で写真撮影をしたり、絵画に隠されたいたずらを探して遊んだりと二重の面白さを体験できる。
もう一つの「家のエリア」は、たくさんある扉の中に、それぞれ違う世界が広がっていくエリア。そのうちの一つ「パパのアトリエ」は、観覧者が白いキャンパスに向かって専用のUVライトを当てると鮮やかな色が浮かび上がり、まるでキャンパスに落書きをしているかのような、子供のころは怒られたかもしれない体験をできる。
トリックアート迷宮?館は、魔法の世界をトリックアートで再現した館。立つ位置により体験者2人の体の大きさが変わる「エイムズの部屋」が有名だ。
ミケランジェロ館は、イタリアルネサンスの三大巨匠の名作をトリックアートで再現。「最後の晩餐(ばんさん)」や「アテネの学堂」「システィーナ礼拝堂」が見る人を圧倒する。
▽栃木県那須郡那須町高久甲5760。TEL0287(62)8388。不定休で、午前9時半から午後5時まで営業(8月は午前9時から午後5時半まで)。入場料3館共通大人2800円、中学生以下1900円。
光を使った不思議な作品も楽しめる