関西広域連合(連合長=三日月大造・滋賀県知事)とタイ国政府観光庁(TAT、ターパニー・キアットパイブーン総裁)は2日、観光交流の促進に関わる趣意書を取り交わした。今後、両者間で新たな観光の見せ方などに取り組むほか、オーバーツーリズムなどの共通する観光課題や責任ある観光の在り方などに関する知見、さらには施策の共有を進めたい考えだ。
昨年11月、西脇隆俊・副広域連合長(観光担当委員、京都府知事)をトップとする海外観光プロモーションでTATを訪問。同副総裁との意見交換の中で観光交流の促進に関わる趣意書の締結に向けた検討を行うこととなり、今回の締結に。
関西広域連合が観光分野等で海外の国や地域と覚書などを交わすのは2019年にイル・ド・フランス州(フランス)に続き2例目。TATはこれまでに、東北観光推進機構や北海道、和歌山県など日本国内の複数の広域団体や自治体との連携協定を結んでいる。
趣意書では、(1)両者が実施する観光プロモーションの相互協力(2)旅行事業者・観光関係団体に対するさまざまな手段による相互に有益な情報の提供(3)持続性の高い観光の推進に資する取り組みやノウハウの共有―について相互協力を行うと明記。定期的な情報交換の場を設けるかどうかなどについては今後協議する。
同日、京都府庁で行った調印式には、TATからターパニー総裁のほか、チューイット・シリウェーチャクン東アジア局長ら、関西広域連合からは鈴木一弥副委員(広域観光・文化・スポーツ振興担当=京都府副知事)、野口礼子広域観光・文化・スポーツ振興局長(京都府商工労働観光部観光政策監)らが出席。
調印に先立ちあいさつした鈴木氏は「タイは歴史・伝統文化の深さや豊かな自然など、関西と通じるところがある。また観光大国であり、われわれが学ぶべきところが数多くあると考えている。来年は大阪・関西万博があり観光交流の振興に良い機会となる。両国にとってウインウインになるよう取り組みたい」、ターパニー総裁は「ウインウインとの話があったが、『ツーウェイ・ツーリズム』が非常に重要になってくる。互いに新たな観光の見せ方などによる若い世代への訴求や、オーバーツーリズム、持続可能な観光に関するノウハウの共有などに取り組んでいきたい」とそれぞれ意欲を語った。
また、ターパニー総裁は「大阪・関西万博についても、大阪を拠点に関西各地に足を運ぶようタイ国内で働きかけていきたい」とした。
日タイ間の旅行者数はコロナ禍前の19年が、日本から181万人、タイから132万人。TATによると今年は1~7月時点で約60万人の日本人がタイを訪れており、年間で100万人まで回復するとの見通し。JNTOによると、日本からタイへの旅行者数は今年1~6月が約62万人で19年の同期比で9・6%減となっている。
趣意書にサインするターパニー・キアットパイブーンTAT総裁(左)と鈴木副委員