震災復興観光推進国民会議IN山形(議長、西田厚聰・日本観光振興協会会長)が主催するフォーラムが7日、山形市の山形テルサで開かれ、県内外から関係者約600人が参加した。「風評被害を乗り越えて」をテーマに、基調講演やパネルディスカッションなどを通して、観光振興による復興に一丸となって取り組むことを確認した。
同会議がフォーラムを開くのは、昨年の仙台市に続いて2回目。
冒頭あいさつした西田議長は「東日本大震災の直接の被害がなかった山形県や秋田県も風評被害によって思うように回復していない。11年度の山形の観光客数は前年度から403万人減り、3239万人となっている。現在でも減少傾向が続いている。風評被害から復活するため、このフォーラムを関係者が一丸となって取り組む契機としよう」と呼びかけた。
開催地を代表して、新田嘉一・平田牧場グループ会長と吉村美栄子知事があいさつ。吉村知事は「東北観光博などを通して、必死に観光復興に取り組んできた。そんな中、14年のJRデスティネーションキャンペーン(DC)が山形に決まったことは非常に明るい材料だ。県民一体となって取り組み、成功させるべく力を尽くしていきた」と強調した。
高橋宏明・東北観光推進機構会長は東北観光の現状を報告。「回復傾向にあるものの、純粋な観光目的の観光客は思ったほど伸びてはいない。また、外国人の宿泊客は依然として風評被害の影響を受けている」と厳しい状況を示した上で、復興ツーリズムの定着や被災学習を目的とした修学旅行の誘致など新たな動きが出ていることを紹介した。
井手憲文・観光庁長官の基調講演に続いて、「観光による東北復興 第3ステージへ」をテーマにパネルディスカッションが行われ、長谷川伸一・東北運輸局長、原口宰・JR東日本常務、稲岡研二・ANAセールス社長、上川裕秀・日本航空取締役専務執行役員、山口隆子・天童温泉ほほえみの宿滝の湯女将が持論を述べた。デモレーターは加藤誠・JTB旅行事業本部観光戦略部長。
山口さんは「今年に入って首都圏からのお客さまも増え始めたが、関西以西からはまだまだ。人の心を大きな観光資源とし、お客さまをもてなしたい」と述べるとともに、「DCは観光業界だけでなく、全県挙げての取り組みが大事だ」と指摘した。
フォーラムでは二階俊博・全国旅行業協会会長(元経済産業相)のコメントが読まれ、「全旅協は引き続き東日本の観光復興をメーンテーマにしている。各事業者が応援ツアーなどを組んで販売しており、とにかく東北に観光客を送る」と決意を披露した。
パネル討論では東北復興に向け熱い思いが語られた