高湯温泉観光協会(福島市、遠藤淳一会長)は4日、福島市内の複合施設「こむこむ」で「21世紀の『温泉と健康』を考える」と題した講演会を開いた。昨年、同温泉が地域ぐるみで行った「源泉かけ流し宣言」の記念事業。「源泉かけ流し宣言」の提唱者でもある札幌国際大学の松田忠徳教授らが、温泉入浴による健康法などを集まった一般の温泉愛好家らに伝えた。
松田氏は「温泉を楽しみながら、健康になる」と題して講演。「温泉熱による刺激で体が良質なたんぱく質を作り、傷ついたたんぱく質を修復する」など、温泉入浴の有効性を医学的見地から説明。その上で、「日本は湯治という、世界で最先端の予防医療を行っていた。しかし、西洋医学の普及で、日本古来の文化の湯治を我々は捨ててしまっているのではないか」と指摘。日本の温泉を医学的にもっと有効活用すべきだと訴えた。
モンゴル国立健康科学大学のS・オルドフ教授は「モンゴルの伝統医学と温泉」と題して、モンゴルで伝統的に行われている温泉を利用した医療を紹介。アジアで唯一、温泉医療で健康保険が適用される同国の実態を紹介した。
松田氏に4氏(高湯温泉観光協会・遠藤会長、日本温泉保養士協会・小野倫明氏、乳頭温泉郷妙乃湯女将・佐藤京子氏、福島県温泉協会会長・佐藤好億氏)を交えたパネルディスカッションでは、「日本は世界に冠たる温泉国だが、我々はどれだけ愛着をもって利用しているか。病気になりにくい体を作るために、身近な温泉をもっと有効利用してほしい」と呼びかけた。
高湯温泉は昨年6月、温泉地の入浴施設がすべて源泉かけ流しであることから、松田氏の推薦で「源泉かけ流し宣言」を行い、湯のよさを内外に広くアピールしている。
同様の宣言はほかに、川湯(北海道)、摩周(同)、ぬかびら(同)、関(新潟)、野沢(長野)、渋(同)、十津川(奈良)、長湯(大分)が行っている。
松田氏らを交えたパネルディスカッション