高速バス会社向けのコンサルティング事業を行う高速バスマーケティング研究所(横浜市港北区)は11日、東京都内で高速バス業界向けセミナー「高速バス・マネジメント・フォーラム2013」を開催し、旧高速ツアーバス最大手のウィラーグループの村瀬茂高社長=写真=らが講演を行った。
今年は、これまでの高速乗合バスと高速ツアーバスの分類がなくなり「新高速乗合バス」に統合されるなど、制度が大きく変更されたこともあり、関係者の関心は高く、バス会社や車両メーカー、旅行会社などから150人以上の参加者が集まった。
まず、同研究所の成定竜一代表が「(高速バス業界に)どんな未来が待っているのか想像すること。長いわが国の歴史の中で、自分たちがどのポジションにいるのか考えるきっかけにしてほしい」とあいさつ。その後、村瀬氏が「『移行事業者』の戦略」、さらにレベニューマネジメント、地方バス事業者の取り組み事例、危機発生時の対応について、各分野の専門家や当事者が講演した。
村瀬氏は、ウィラーグループがどのようにして高速ツアーバス市場を開拓してきたかを解説した。最初に行ったのは「戦える集団」の組織。2年かけて不可能を知らずに変わることを躊躇しないスタッフを集めた。
かつての高速バスは「遠足バス」。つまり、通常の観光バスをそのまま転用するイメージが強かった。そのため、デザインやブランド名を洗練されたものにして、色も派手なピンクに統一。客の興味をひいた。さらに、ウェブマーケティングと広報を重視し、話題性を高めたことなどでビジネスモデル化を達成。今年7月の新高速バスへの移行を無事終えた。
村瀬氏は今後の高速バス市場の発展について「ウィラー1社だけではできない」と断言。業界各社全体で取り組み、3〜5年のうちに構想を明確にする必要があると強調し、参加者に協力を呼びかけた。
12日は、日野自動車お客様テクニカルセンター(東京都羽村市)に会場を移し、車両の安全技術を体感する見学会を開催した。