鹿児島・指宿温泉の旅館らが、湯治による「癒し」「リラックス」効果を検証できる「リラックス度」のデータを観光客の日常の健康づくりに生かしてもらう、新しい温泉保養を確立しようしている。指宿での旅を楽しみながら、どのような行動がストレスの解放につながるのかを観光客に知ってもらうことで、温泉地の持つ「癒し」の効果を再認識してもらう狙いもある。
同温泉が確立を目指すのは「平成版IT湯治」。指宿ロイヤルホテルのほか、医療機器メーカー「パラマ・テック」や鹿児島大学など産学官9団体・自治体がつくる「鹿児島県観光保養地域活性化協議会」(会長=有村佳子・指宿ロイヤルホテル会長)が内閣府の「地方の元気再生事業」の支援を受けて、実証実験などを行っている。「温泉地を活性化するには、一過性の観光イベントに頼ったり観光施設を建設したりするのではダメだ」と考えた有馬会長が起案、これまで専門家らと独自に「リラックス度」を開発するなどの取り組みを進めてきた。
IT湯治では、観光客に小型測定器を身につけたまま観光を楽しんでもらう。測定器が測定した観光中の心電データは各旅館のインストラクターが専門のパソコンソフトに取り込み、解析リポートにする。リポートには5分ごとのリラックス度がグラフ形式で表されるため、同地名物の「砂むし風呂」や観光地での散策などの行動が自分のストレス解放にどのように作用しているのかが分かる。
現在はIT湯治のうち解析リポートの作成までしか行っていないが、今後医師や栄養士からなる専門グループを置き、健康づくりのアドバイスを行うようにする。将来的には全国の他の温泉地にもIT湯治を実施してもらい、各地で観光客が測定した測定データを一括管理。蓄積されたデータを健康づくりに生かしてもらえるようにしたい考えだ。
9月20日からは指宿温泉に2泊以上滞在する人を対象とした、無料の体験キャンペーンを行っている。同温泉の10軒の温泉旅館・ホテルで毎日各施設5人まで体験できる。キャンペーンは来年2月7日まで。細川明人・鹿児島県観光保養地域活性化協議会委員(指宿ロイヤルホテル社長)は「より多くの人に体験してもらい、IT湯治の楽しさや健康へのヒントを見つけてほしい」と話す。
パンフレットの表紙