岡山県矢掛町地域創生事業推進協議会は2月14日、同町のPRイベントと情報交換会を東京都内で開催した。情報交換会ではやかげDMO理事長の金子晴彦氏が最近10年間の観光事業の取り組みを振り返り、同町が幸福度ランキング(大東建託調べ)で中国地方1位となったことなどを報告した。
岡山県南西部に位置する矢掛町の観光事業は、古民家の改修を起点に始まった。古民家を生かした町づくりを進め、2014年にはまち歩き観光の環境整備を目的に旧谷山邸を「やかげ町家交流館」に改修。「宿場町でありながら泊まる場所がない」との悩みから翌15年には宿泊施設「矢掛屋本館」を開業。観光客、地元住民がともに楽しめる空間を域内に整えていった。地元観光のさらなる活性化を図り、17年には「矢掛豊穣 あかつきの蔵」を開業。100年超の歴史を持つ木材加工所を改修し、バンケットホールやショップギャラリーを備える観光拠点として営業を開始した。
古民家再生を核としたにぎわい創出のまちづくりが評価され、18年にはイタリアの協会から矢掛町が世界で初めて「アルベルゴ・ディフーゾ・タウン」、矢掛屋が宿泊施設としてアジアで初めて「アルベルゴ・ディフーゾ」をそれぞれ受賞。同町の既存の施設や資源を生かしたまちづくりや分散型ホテルの在り方が国際的にも認められた。
近時の事業展開として、金子氏は道の駅「山陽道やかげ宿」や観光案内所としての「矢掛ビジターセンター問屋」の開業、商店街の無電柱化、重要伝統的建造物群保存地区としての取り組み、農泊やマイクロツーリズムの推進などを説明。地域を流れる小田川について「かつては川遊びが盛んだった。現在は付近にオートキャンプ場とグランピング施設の建設を計画している。また子どもたちが川遊びを楽しめる環境をつくりたい」との構想を明かした。
同情報会には大東建託の宗健氏が出席し、矢掛町が幸福度ランキング1位となった背景に触れ、「情緒的な評価が高い。単に便利で機能的であるという側面だけでなく、住んでいる人視点での情緒的な評価も重要になる」と分析した。
おかやま観光特使・永山泉水氏(ゆのごう美春閣女将)も同町の魅力を発信した
金子理事長が矢掛町観光10年の歩みを解説