コロナ禍に負けず、自らの存在をアピールする温泉地の取り組みが各地で行われている。
兵庫県豊岡市の城崎温泉は、「ファンPRキャンペーン」を3月から実施。同温泉の3団体(城崎温泉旅館協同組合、城崎温泉観光協会、株式会社湯のまち城崎)が連携し、「需要回復の中・長期化が考えられる中、一時的な観光客のみを追うのではなく、繰り返し訪れてくれる、滞在日数や時間の長いお客さまを呼び起こす一つの取り組み」と行ったものだ。
インスタグラムなどSNSを活用した。温泉地の公式インスタグラム、LINEを立ち上げ、体験プログラムや店舗の情報、外湯の混雑状況など同温泉の生の情報を発信。インスタグラムでは城崎温泉の写真を投稿した人に「津居山ガニ」や「但馬牛」など同地の特産品を贈る企画を行い、これらSNSへの登録を促す街頭イベントも神戸市内で行った。
温泉街の再生プロジェクトが進む山口県長門市の長門湯本温泉は、変わりゆく街並みや温泉地の魅力をさまざまなメディアを使い発信している。6月15日からは、JR西日本と、同温泉の再生プロジェクトに関わる星野リゾートとの共同開発による企画列車「ゆずきち号」を新下関駅―長門市駅間で運行。同温泉への旅行を誘う。
車内では列車の名前にもなった長門市名産のかんきつ「ゆずきち」や夏みかんを使ったスイーツを提供。ゆずきちを使ったオイルによる香りの演出も行う。
温泉街の街づくりに取り組む長門湯本温泉まち株式会社エリアマネージャーの木村隼斗氏は「コロナ禍の厳しい中、安心して過ごしていただける環境を整えることが第一だが、制約の中でもさまざまな企画を進め、近隣の方も含めて多くの方々に楽しんでもらえるよう、工夫を重ねたい」と話している。
ゆずきち号の車内。地元の名産を使ったスイーツを提供する