私が在住する茨城県は、2019年に策定された「いばらきサイクルツーリズム構想」に基づき、特色を生かした四つの走行ルートを設定し、国内外からのサイクリストが一度訪れると、何度も来たくなる魅力ある「サイクリング王国いばらき」を目指している。
一昨年からは、サイクリストが快適に過ごせるように「サイクリストにやさしい宿」認定制度をスタート、私が勤務するホテル会社でも、昨年4軒がその認定を受けた。条件は、（1）安全な自転車の保管場所があること（2）フロント等での手荷物の預かりが可能なこと（3）洗濯が可能なこと（4）自転車宅配の受け取り・配送が可能なこと、そして（5）スポーツバイク対応の空気入れ・工具の貸し出し等となっている。
その後、認定された宿泊施設の中から、サイクリストのさらなる誘客を目的にした「連携宿泊プラン」が募集され、弊社の「ホテルクリスタルパレス」（ひたちなか市）が企画提案したプランが採用された。そして、先月、実際にそのプランを体験（試泊）するため、県より委託を受けたプロサイクリスト一行3名が同ホテルを訪れ、コンテンツや施設チェック、サイクリストへの対応ができているか等の現地視察を行った。
その際、私が留意した点は、ホテル単体で考えるのではなく、地域全体が潤うことである。市観光振興課担当職員からは、市内の魅力のある観光スポットや、飲食店、お土産等の紹介を、また、商工会議所からは、毎年開催している「サイクリングｄｅひたちなか」担当者と市在住のサイクリストの方に来ていただき、市内を走行する際の推奨コースの説明や助言等を行った。
この「サイクリストにやさしい宿」の目的は、本県を訪れたサイクリストに、当地の良さを、観光資源や人との触れ合いを通して知っていただき、また来たくなる魅力ある地域にしていくことでもある。そのためには、公民が連携し、地元の各事業者と協力し合い、そして、地域が活性化するように、観光事業者の1人として、微力ながら尽力していきたい。
（一般社団法人日本宿泊産業マネジメント技能協会会員 株式会社長寿荘経営企画本部長 上島誉郎）
