西日本旅客鉄道 マーケティング本部 鉄道マーケティング部 近畿営業部長 福江直広氏
にぎわいの拡大、オーバーツーリズム解消へ
当社はコロナ禍を受けた社会変容が急速に進む中、当社グループの存在意義を「私たちの志」として掲げ、人と人、人とまち、人と社会をリアルとデジタルの場でつなぎ、持続可能で活力ある未来を創り、その先の一人一人が思い描く暮らしをさまざまなパートナーと共に実現していくことを目指しています。
およそ3年間に及ぶこの未曽有の事態により、リモートワークをはじめとする働き方が多様化する一方で、人間の本能ともいえる「移動」への欲求は衰えることなく、改めてＦａｃｅ ｔｏ Ｆａｃｅで会う喜びや価値が再認識されたのではないでしょうか。実際に、関西エリアは、千年以上もの間、日本の歴史と文化の中心にあり、悠久の伝統文化が各地に数多く残されている地として、世界中、日本中からの多くの観光客が訪れ、コロナ前のにぎわいを取り戻しつつあります。半面、特定の観光地にお客さまが集中し、地域住民の生活や自然環境、景観等に負の影響をもたらすオーバーツーリズムも発生しています。
いよいよ「大阪・関西万博」開幕まで1年を切りました。2025年春には、万博開幕にあわせ、デスティネーションキャンペーンを35年ぶりに大阪府域で開催します。現在、当社エリアで開催中のプレキャンペーンでは、道頓堀などの有名観光スポットだけでなく、仁徳天皇陵古墳に代表される大阪に息づく歴史、まだまだ知られていない大阪府域の海山の素晴らしい食、ならびにユニバーサル・スタジオ・ジャパンやお笑いといった豊富なエンターテインメントなど、「オモロイ」がいっぱいの大阪の旅を訴求しています。また、便利な大阪の鉄道ネットワークを生かし、大阪府域全域の魅力ある観光スポットにも公共交通機関でスムーズにめぐっていただけるよう、関西の鉄道会社各社の皆さまにもご参画いただいています。
当社では、今年度下期以降、関西エリアの211駅の自動改札機にＱＲリーダー搭載を計画しており、「ＫＡＮＳＡＩ ＭａａＳ」をはじめとしたサービスを通じて、スマートフォンに表示されたＱＲコードを改札機にかざしてご利用いただけるように準備を進めています。来年の大阪デスティネーションキャンペーンでは、鉄道ネットワークによるシームレスな移動とリアルな観光体験をデジタルツールでつなげることで、広域周遊観光促進を推進するとともに、プラスワントリップ促進で関西、西日本全域ににぎわいを拡大できるよう取り組むとともに、オーバーツーリズムの解決にもチャレンジしてまいります。
