「悪化している」「厳しい状態」 日銀レポート、全地域の判断下降


 日本銀行がこのほど公表した地域経済報告「さくらレポート」の7月分では、全国9地域の景気の総括判断が全て4月の前回判断に続いて下降した。新型コロナウイルス感染症の影響が顕在化し、各地域が「悪化している」「厳しい状態にある」などとした。

 北海道、北陸が「大幅に悪化」、関東甲信越が「きわめて厳しい状態」、中国が「大幅に悪化したあと、厳しい状態が続く」、東海が「改善に向けた動きが見られるが、厳しい状態」、東北、近畿、九州・沖縄が「悪化」、四国が「一段と弱い動き」と、全ての地域が厳しい表現となった。

 各地の企業などの景気に関する主な声は次の通り。

 「観光客が激減している局面で価格を引き下げて集客するよりも、需要の回復後に備える方が得策と考え、施設の一部閉鎖を伴う改装工事を前倒しで実施することにした」(北海道、宿泊)。

 「緊急事態宣言解除後、都市部に近い施設で日帰り客を中心に客足が戻ってきているほか、「3密」を回避して楽しめる部屋食、客室露天風呂付きの高級施設では6月初旬から満室の施設も出ている」(北海道、宿泊)。

 「新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、4~6月の宿泊利用は前年の1割にとどまった。先行きについても、誘客効果の高い夏祭りの中止などを背景に、需要期である夏季の売上高を悲観的に見ている」(東北、宿泊)。

 「多くの宿泊施設では、休業を強いられた中で急速に収支が悪化し、一部では従業員を解雇する動きも見られ始めている。今後も宿泊客数の回復が見通しにくい中で、従業員の解雇が増加することを強く懸念している」(北陸、宿泊)。

 「昨年来、台風19号や冬季の雪不足、新型コロナウイルス感染症の影響など強い逆風により、宿泊客数は過去にないほど落ち込んだ。外出自粛要請の解除により客足は戻りつつあるが、楽観はできない」(関東甲信越、宿泊)。

 「客室稼働率の大幅な低下に伴い業績が悪化する中、キャッシュアウトをできるだけ抑制するために、改装工事を凍結している」(近畿、宿泊)。

 「新型コロナウイルス感染症の影響による旅行の自粛から宿泊需要が大幅に落ち込んでおり、4月から5月にかけて臨時休業を実施した」(中国、宿泊)。

 「新型コロナウイルス感染症の影響で先行き不透明感が高まっており、2021年度入社の新卒採用は見送る方針(中国、宿泊)。

 「宿泊者の回復はなかなか見込めないため、宿泊料金の引き下げやテレワーク用の格安デイユースプランの新設等、顧客獲得に向けた対策を行っている」(四国、宿泊)。

 「ホテル休業時には、雇用調整助成金に自己資金を加えて何とか定例給与の水準は維持しているが、業績悪化から賞与は大幅に減額せざるを得ない」(九州・沖縄、宿泊)。

 
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