イベントの入場緩和にも期待感
日本旅行業協会(JATA)は9日、政府が発表した新型コロナワクチン接種の進展により段階的に行動制限を緩和する方針を受けて「旅行マーケットの再開に向けた前進と受け止めている。感染拡大防止を第一に実証実験も重ね、感染対策を万全にしながら、安全安心な旅行を提供していきたい」と所感を発表し、旅行、移動需要再開への期待感を寄せた。
JATAは、行動制限を緩和する方針に対し、「ワクチン接種や陰性証明を条件に県境を越える移動の自粛要請が対象外となれば、交通機関を利用しての旅行、移動が活発化し、旅行マーケットが動き出す要因となり、地域経済の活性化へ大きく寄与する」と言及する。また、イベントへの入場制限が緩和されることについても、「イベントに伴う人の移動が活発化し、旅行需要につながる」と早期の緩和を望んだ。
JATAはこれまでに、自民党の観光立国調査会へ旅行業界への支援の要望として、「ワクチンパスポートの国内、海外双方での活用」「日本入国時の14日間隔離緩和」など9項目にわたる要望書を8月25日に提出するほか、5月からは経団連の「ワクチン接種記録の活用に関するタスクフォース」に参画し、出入国時のワクチンパスポートの必要性や入国時の隔離緩和について訴えている。9月6日付で経団連から政府に提出された「withコロナにおける社会経済活動の活性化に向けた提言」では、「一定の隔離期間を設ける際でも、旅行会社や企業による行動管理等を行うことで、隔離期間中であっても一定の行動を可能とすべきである」というJATAの考えが明記されている。
政府は、行動制限の緩和の方針で旅行に関わる部分として、(1)10月以降段階的に行動制限を見直し(2)ワクチン接種や陰性証明を条件に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域でも県境を越える移動自粛要請の対象外とする(3)「ワクチン・検査パッケージ」の活用で大規模イベントは上限5千人の制限を緩和する―を発表している。