
シンポの終わりに宮元市長が加賀宣言を発表した
石川県加賀市(宮元陸市長)と温泉ツーリズム推進協議会(事務局=大阪観光局)は2月22日、同市のホテルアローレで、温泉シンポジウムin加賀を開いた。4月に開幕する大阪・関西万博を契機とした、日本の温泉文化の世界への発信の方策について意見を交わしたほか、「加賀宣言」を採択。「泉活(SEN―KATSU)」を合言葉にした温泉文化の発信を決めた。
同協議会は、地方の魅力を世界に発信する「日本の観光ショーケース」事業を展開する大阪観光局の声掛けで発足。有名温泉地がある全国の自治体の首長らが参画し、温泉文化の世界発信と訪日客の温泉地への誘客に取り組んでいる。
大阪・関西万博の開幕を前に、阪神淡路大震災から30年、能登半島地震から1年という節目にあたり、温泉文化の世界発信の温泉を通した世界との相互理解と協調、温泉地の防災・減災について意見を交わそうと、能登半島地震の被災県である石川県の加賀市でシンポジウムを開催した。
冒頭、主催者を代表してあいさつした加賀市の宮元陸市長は、同市が能登半島地震の被災自治体である一方で、3温泉の立地自治体として旅館ホテルと協力して2400人の被災者の2次避難を受け入れたことなどを紹介。またコロナ禍や度重なる天災で地方の温泉地が苦しんでいる状況に触れ、「大阪・関西万博を契機に、地方の温泉地が連携して暗い状況を打破していきたい。このシンポで復旧復興、万博に向けた準備を進めよう」と呼びかけた。
シンポジウムでは同協議会事務局長を務める溝畑宏大阪観光局理事長が、日本の観光ショーケース事業の事業計画を説明。次いでジュリアン・ジーリTARGET JAMM代表、ユネスコ無形文化遺産登録を応援する知事の会事務局の金井淳一・群馬県地域創生部文化振興課温泉文化推進主監、チェン・ジェンズShanghai Homing Swallow Health Tech Co.’Ltd.社長、大﨑洋・大阪・関西万博催事検討会議共同座長が特別スピーチを行い、国内外の温泉事情や大阪・関西万博の意義などについて語った。
シンポの終わりに宮元市長が加賀宣言を発表した
ローカルこそ本物 パネル討論でPR戦略語る
シンポジウムの目玉として、溝畑宏大阪観光局理事長、大﨑氏、宮元加賀市長、齊藤栄・熱海市長、阿部万寿夫・別府市副市長、松本善男・松山市参与によるパネルディスカッション「万博イヤー!『日本の温泉文化』をいかに世界に発信すべきか」を行った=写真。
齊藤市長は日本の温泉の多様性に触れた上で、「それぞれの温泉には歴史的経緯などのストーリーがある。その物語を感じながら温泉に入ってもらうことが重要ではないか。典型的なものを分かりやすく『温泉と○○』などと類型化して発信すると良いのでは」、宮元市長は世界的に認められた和食の価値を例にしながら「大﨑さんの話にあった通り、長年地元で受け継がれてきた『本物』を見せるという、原理原則に戻らなければ世界から人は呼び込めない」と考えを述べた。
続いてオンラインで参加した阿部副市長は同市の進める「新湯治・ウェルネス」の取り組みを説明。温泉効果のラボ機能を持つ拠点を中心に、市民の心身の健康や観光客へのサービス向上などを図り、世界に発信していくとアピール。松本参与は道後温泉の歴史やまちづくりの歴史をひも解いた上で、先人から受け継いだ松山の宝を大切にしながら今後も積極的な発信を行いたいと語った。
各自治体からの発表を受けて大﨑氏は「齊藤市長のおっしゃった『温泉と○○』は、「温泉と社会課題解決」などいろいろ考えられると思う。高齢化など課題の多いこれからの日本は、皆で困りごとを発見して助け合っていかねばならない。だからこそ、『みんなで温泉に入って、楽しみながら解決しようよ』というネットワークを作れるのではないか」と指摘。溝畑氏は「皆さんのお話を聞いて、地元の人も来た人も楽しい、幸せな状況を作っていくということが原点と感じた」と述べた上で「『ローカルのものが本物』という意識を持ち、その上で世界に評価される必要がある」と総括した。
パネルディスカッション