リンレイ(東京都中央区)が提供している「カーペットパイルコーティングAg+」は、カーペットを「洗わない」メンテナンスシステム。製品をカーペットに噴霧するとパイル(生地)が起毛して通気性が改善し、汚れがパイルから離れやすくなる。それを、掃除機などで吸い取るもの。
宿泊施設などは通常、ポリッシャーなどによるカーペットの洗浄作業を年に1度行っているとされるが、「このパイルコーティングを施せば、洗浄作業が不要」と同社。洗剤や汚水を大幅に削減できるため、環境負荷の低減につながる。併せて、AG(銀イオン)を配合しているので抗菌、抗ウイルス効果も期待できるという。
東京の羽田空港第2ターミナルのカーペットもこのパイルコーティングを施している。この3月から、保安ゲートの中にある2フロア(約7万平方メートル)のカーペットの張り替えを進めているが、同時にパイルコーティングも施工。経年劣化により傷んだことが理由で約10年ぶりに実施。全ての張り替えは約2年後を予定する。
羽田空空港でも広く導入されている
製品の採用を主導したのは羽田空港の設備管理などを担う日本空港テクノ。同社の執行役員環境サービス部長の赤岩洋志氏はこう話す。「約10年前から製品は知っていて試験的に導入していた。ただ、当時の製品にはエタノールが含まれており、これが全面導入のネックになっていた」という。エタノールが微量でも含まれていると「労働安全衛生法」上の高リスクと判定され、管理者に作業員の健康障害を防止する義務が発生する。そのため全面採用に二の足を踏んでいた。
そこでリンレイではエタノールを含まない新製品を4年前に開発。2019年の第2ターミナルの国際線増設の際、出発ロビーのカーペット全てに塗布した。また、「現在、保安検査場をはじめ、清掃などの人員不足が深刻なため、業務の省力化を図る目的もあった」と赤岩氏。
赤岩氏
英国SKYTRAX社が実施する国際空港評価で、羽田空港は清潔さを評価する部門で8年連続・10回の1位を獲得している。清潔さの評価ポイントについて赤岩氏は、「床とトイレが重要」と指摘している。
製品の問い合わせ先はリンレイTEL03(3543)2281。
カーペットパイルコーティングAg+