帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の8月分を公表した。同月の景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は前月から横ばいの49.5だった。「国内景気は自動車関連の生産持ち直しや旺盛なインバウンド需要が続く中、猛暑や自然災害がさまざまな影響を及ぼし、足踏み状態が続いた」(同社)。業種別では旅館・ホテルが46.6で、同1.4ポイント増と5カ月ぶりに改善した。
10の業界別では、旅館・ホテルを含めたサービスや卸売など5業界が改善。小売など4業界が悪化。運輸・倉庫が横ばいだった。「連日の猛暑や相次ぐ台風の上陸で外出を控える動きが、消費に関連する業種の景況感悪化につながった」(同社)。
このうちサービスは同0.4ポイント増の52.8と、2カ月連続で改善。15業種のうち、旅館・ホテルや娯楽サービスなど8業種が改善。飲食店など7業種が悪化した。
小売は同1.0ポイント減の41.7と、2カ月ぶりに悪化した。猛暑や相次ぐ台風の襲来で外出が控えられたなどのマイナス要因があり、9業種中6業種で悪化した。
10の地域別では、6地域が改善、4地域が悪化した。このうち中国は同0.1ポイント増の47.1と、7カ月ぶりに改善。豪雨災害の影響が一部で残る中、広島、鳥取で景況感が改善した。四国も同0.4ポイント増の47.9と改善した。
景況感に関する観光関係の主な声は次の通り。
「インバウンド効果が続くも、6月の大阪北部地震の影響が多少出ている」(現在、どちらでもない、免税店)。
「天候不順などにより、地元温泉への来客数が減少している」(現在、悪い、ガソリンスタンド)。
「インバウンド効果に尽きる」(現在、良い、旅館)。
「インバウンド需要も増え、ホテル関連も拡大していく」(先行き、良い、配管冷暖房装置等卸売)。
「熊本地震により観光客の周遊ルートが変わっており、来客数の増加はあまり期待できない」(先行き、悪い、菓子小売)。
「1年後はラグビーワールドカップ開催に伴う一時的かつ急激な増加が見込まれる」(先行き、良い、旅行代理店)。
「2019年は東京五輪の1年前なので、各スポーツ団体が事前大会をすることで経済効果が出てくる」(先行き、良い、一般旅行)。