中国地方各地に受け継がれている伝統芸能の神楽を観光資源として活用しようと、42の自治体が参加して中国地方神楽観光振興協議会が設立された。旅行者が神楽を気軽に楽しめるように定期公演の実施や公演情報の一元的な提供などについて具体策を検討していく。国内外に中国地方の神楽の魅力をアピールし、集客を通じた地域活性化につなげたい考えだ。
設立総会が3月28日に広島市内で開かれた。中国地方5県の知事と37市町の首長がメンバー。構成自治体の担当部署による作業部会を設置し取り組みを具体化する。事務局は国土交通省中国運輸局企画観光部観光地域振興課に置く。
神楽は神話の神々にささげる踊りや歌で、豊作、豊漁などを祈願する。中国地方の神楽は出雲に端を発していると言われる。神事としての様式を色濃く残す神楽から、演劇的な要素を持つ神楽まで多様な魅力を持つ。
観光への活用を進めている地域もある。島根県石見地域は、特定の期間に限って地域内のどこかで毎日、神楽を上演するイベントを実施。昨年7〜10月には11会場で197公演を行った。神楽観賞を組み込んだ着地型の観光プログラムも造成している。
広島県安芸高田市でも、夏季や冬季の定期公演の実施などで神楽の公演日数を増やし、年間を通して観賞できるように態勢を整備している。中国地方の神楽の魅力を広めようと、今年1月には初の東京公演も実施した。
神楽に関しては、日本旅行業協会中四国支部が「各地域の定期公演の情報を早めに提供してもらえれば、旅行業界として活用したい」と関心を示しているほか、広島商工会議所が「協議会に旅行業界、JRなど民間も加え、神楽のファンの増加を目指してほしい」と期待を寄せている。
一方で神楽の観光活用には課題もある。それぞれの地域の実情に応じて、観光イベント化に抵抗感を持つ地域があるほか、舞手のほとんどは本業を別に持つ地域住民であるため、定期公演や出張公演に制約がある。後継者の育成が課題の地域もあるという。
協議会では、これらの課題も踏まえつつ、各地域の取り組みを連携させて、定期公演化や公演機会の確保について施策を具体化。各地の公演情報を集約したウェブサイトからの情報発信、旅行会社への商品造成の働きかけ、インバウンドへの活用についても検討していく。
自治体が参加し、協議会を発足させた