帝国データバンクによると、旅館経営の古谷興業(神奈川県箱根町)は、11月2日に横浜地裁小田原支部から破産手続き開始決定を受けた。
同社は、1923年創業、55年11月に法人改組された。箱根芦ノ湖畔で温泉旅館「箱根宿 夕霧荘」と日帰り温泉を経営していた。同館は芦ノ湖の南岸近く、関所本陣跡に建てられた街道筋の老舗温泉旅館で、客室数は20室。1泊2食付きで内湯付きの平日宿泊料金は1万8千円程度に設定。週末、祝日も2万円台中心の価格に設定していた。
高級宿泊施設の多い箱根エリアでは比較的リーズナブルな宿泊施設で、毎年訪れるリピート客を集客し、98年9月期には年収入高約2億2千万円を計上した。
しかし、その後は施設の老朽化が進み、人件費負担も重荷となる中、年商規模を上回る借入金も抱えていた。この間、欧米系やアジア系の外国人観光客を中心に集客に努めたものの、2019年9月期の年収入高は約2億円にとどまった。今年に入り、国内で新型コロナウイルスの感染が拡大。地元箱根地区の観光客が急減し、同社業況も影響を受ける中、今回の措置となった。
負債は現在調査中。
なお、箱根地区のホテル・旅館では初の「新型コロナウイルス関連倒産」で、神奈川県内では36社目となる。