国土交通省は、国内外の観光客の宿泊日数、滞在日数を増やすため、地域間の戦略的な広域連携を軸にした観光地整備の支援制度を創設する。新法制定も視野に入れ、施策の具体化を検討している。一体的な観光地づくりを目指す複数の市町村にまたがるエリアを「地域観光圏」、県境を越える広域観光ルートを「広域観光連携圏域」(いずれも仮称)に認定し、地域が策定した計画に基づき、ソフト、ハード両面から一体的な整備を後押しする。宿泊産業の高度化、体験型の観光プログラムの造成などを通じて、連泊や長期滞在、周遊旅行に結びつける。
国交省が10日発表した、今後の国土交通行政の方向性を示す「これからの重点政策」の中に盛り込まれた。支援制度の具体化を進め、法整備が必要となれば、次期通常国会への法案提出を検討していく。
地域観光圏は、宿泊施設が集まる拠点地域と、その周辺の観光地域を想定。宿泊拠点の集客力向上をはじめ、回遊ルート交通の確保、観光資源の活用、体験型ツアーの造成などを各種事業で支援し、従来の平均的な滞在日数をもう1泊延ばし、2泊3日以上が見込める観光地にする。
広域観光連携圏域は、空港や鉄道といった主要交通機関を基点に広がる広範囲の観光ルートをイメージ。これまで見過ごされてきたルート周辺部の受け入れ態勢、観光メニューなどの整備を促進することで、国内外の観光客が持つ長期滞在、周遊旅行のニーズを取り込み、1週間以上の滞在につなげる。
観光立国推進基本計画では、日本人の国内観光旅行を年間1人当たり4泊とする目標を掲げたが、現状は2.77泊(06年度暫定値)にとどまっており、目標達成に向けた施策の具体化が急務となっている。また、ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)などで増加する訪日外国人観光客の地域の受け入れ態勢強化も喫緊の課題とされる。
国交省観光地域振興課は「観光拠点を個別に整備するだけでは宿泊日数、滞在日数の増加は難しい。地域による戦略的な広域連携のもとで、観光、運輸、まちづくりなどソフト、ハードが一体となった整備が必要だ。国交省として総合的な支援の枠組みを創設し、観光地の国際競争力の強化、地域経済の活性化につなげていきたい」としている。