
車いすのプロカーレーサー、青木拓磨氏が講演
心のバリアフリーも重要
障害者や高齢者など誰もが快適に観光できる東京を目指す東京都主催のアクセシブル・ツーリズム推進シンポジウムが1月31日、東京都千代田区のホールで開催された。車いすのプロカーレーシングドライバー、青木拓磨氏が「あきらめない夢と目標の実現」と題して講演し、「機能障害があっても、補えるものがあれば障害ではなくなる」と語りかけた。有識者によるパネルディスカッションも行われ、ハード面のバリアフリー化だけでなく、コミュニケーションの重要性などについて意見交換した。
車いすのプロカーレーサー、青木拓磨氏が講演
開会のあいさつで東京都産業労働局の坂本雅彦局長(江村信彦観光部長代読)は「2025年に世界陸上、デフリンピックの開催を控え、国内外から多くの旅行者が東京を訪れることが見込まれる中、誰もが快適に東京の観光を楽しめるよう、バリアフリー化をはじめとするさまざまな環境を整えることが重要だ。オリンピック・パラリンピックのレガシーを活用するとともに、今後はハード、ソフト両面でのバリアフリー化をより一層推進していく。世界一のおもてなし都市・東京の実現に向けて皆さま方のお力添えをお願いしたい」と述べた。
基調講演の講師を務めた青木氏は1974年生まれ。97年に最高峰のバイクレース、ロードレース世界選手権500ccに参戦し、世界ランキング5位を獲得した。翌98年のテスト中の事故で脊髄を損傷し、下半身不随になったが、手動の装置が付いたレースカーで四輪レースに挑戦し、ダカール・ラリー、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦した。
青木氏は「これから世界チャンピオンを取りにいくぞという時に脊髄を損傷した。あきらめきれない。アメリカの医師から『何でもできる。足の代わりに肩を鍛えろ。残った機能を使って失った機能を補え』と言われて救われた。車いすだから、障害を負ったからおしまいではない。誰でもチャレンジできることをいろいろな人に伝えながら、これからもレースをしていきたい」と語った。
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