じゃらんとLGBT総合研究所、宿屋大学の3社は9月26日、3社共催セミナー「ホテル旅館のためのLGBTの正しい理解~性的マイノリティの方々のマーケティングとおもてなし」を東京・新宿区の東京YMCA国際ホテル専門学校で開いた。
LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとったもので、性的マイノリティの人々のことを指す。
LGBT総合研究所の森永貴彦社長は「LGBT」と向き合う、と題して講演。LGBTに最近注目が集まっている背景について、(1)ロシアのソチ五輪で、同国の「同性愛宣伝禁止法」に世界各国から批判が集まり、オリンピック憲章に「性自認・性的志向」による差別禁止が盛り込まれたこと(2)厚労省により男女雇用機会均等法「改正セクハラ指針」が2017年1月から施行され、LGBTも対象となっていること―の2点を挙げた。「東京オリンピック・パラリンピックの開催国として、日本は多様なセクシャリティへの理解を迫られている」と述べ、LGBTを知ることの必要性を訴えた。
森永社長は同研究所の調査データを示しながら、「日本国内のLGBT・性的マイノリティは8・0%で、約13人に1人」と説明。内訳については、レズビアン1・70%、ゲイ1・94%、バイセクシャル1・74%、トランスジェンダー0・47%、その他マイノリティ2・13%と紹介した。
その上で「職場でカミングアウトしている当事者はわずか4・3%。9割以上の性的マイノリティが、他人に知られないように生活しているのが現状」と述べ、その理由について「日本の社会では誤解や偏見が多く、当事者はカミングアウトしにくい」と語った。
LGBTマーケットの規模については、「国内のLGBT人口規模は約800万人で、大阪府や愛知県の人口に匹敵する」と言及。市場規模については「国内のLGBT市場規模は推計約2兆円。グローバルでは400兆円近い市場規模があるとされていて、LGBT消費を『Pink Money』と呼び、レクサス、ボルボ、ティファニー、イケア、デルなどが積極的にLGBT向けの広告展開も行っている」と説明した。
消費性向については「LGBTやLGBTカップルは出産、子育てへの支出がないこともあり、『旅行』『芸術』『ファッション』などへの支出は、非LGBTと比べて、月平均で2倍に達している。旅行にお金をかけるのは、性的マイノリティとして日常生活を送る現実から逃避する意味合いも大きいのではないか」と解説し、LGBTマーケットが観光業界にとって有望な市場であることを示した。