宿泊施設関連協会(JARC)は16日、第26回ゼミナール「宿泊施設のOTA離れがすでに加速している」を開いた。講師は、旅行会社や交通機関などにサイト内検索エンジンを提供しているIT企業、フォルシアの事業開発部営業リーダー杉岡健一氏が務めた。JARC会議室でのセミナーをオンライン中継し、希望に応じて現場かオンラインのいずれかの参加を選べるようにして実施した。
フォルシアは、日本で初めてグーグルホテル広告(Google HOtel Ads)に関する「インテグレーションパートナー」に認定された企業。杉岡氏はグーグルホテル広告の概要について「広告が表示されるためには、入札に参加し、オークションに勝つ必要がある。グーグルホテル広告ではクリック課金(CPC)と成果課金(CPA)の2種類の入札方式から選択することになる。CPCは、成約したか否かを問わず、ユーザーがクリックすれば課金される方式。CPAはクリックに対してではなく、成約した金額の一定割合を広告手数料として支払う方式。入札金額が高ければオークションに勝ちやすくなり、広告が上位枠に表示されやすくなる傾向にある一方で、顧客獲得コストは高くなる」と説明した。その上で、掲載順位について「掲載順位は、出稿金額に加えて宿泊料金の安さが重要視されるため、価格優位性を持つ施設公式サイトが上位表示されやすい仕組みだ」と述べ、旅館ホテルの公式サイトがOTAよりも優位であるとした。
メタサーチの種類別シェアについては、「2019年実績でグーグルホテル広告67%、トリバゴ17%、トリップアドバイザー13%。グーグルのシェアは5年で7倍になった」と話した。
流通メインプレーヤーの変遷についても言及。「大手旅行会社による対面での販売が、インターネットによりオンライン旅行会社での販売にシフト。その後、オンライン旅行会社に加えて、日本市場に成長性を見いだした外資系OTAが日本事業を強化した。旅行者として宿泊先を探すために、いくつものサイトの比較検討が必要になったため、複数のサイトを自動的に比較、検討し、価格や空き状況を一覧表示するメタサーチへのニーズが高まった」と解説した。