温泉・観光地のホテル・旅館の経営指導で知られるリョケン(本社静岡・木村臣男社長)は12月18、19の両日、恒例の「旅館大学セミナー」(通算138回、今年度3回目)を新潟県月岡温泉の白玉の湯華鳳・別邸越の里に約150人を集めて開いた。テーマは「変化激しい経営環境の中、進むべき方向とは」で、華鳳開業から10年、さらなるブランド強化を目指し、別邸越の里を10月オープン、「人が自然とふれあい、憩える場所=里づくり」を実現する同館の「越の里づくり構想」を学んだ。
同館の飯田浩三社長(泉慶グループ)は、初日の講演の中で、「もう一度原点を見直して宿づくり構想を考えた。この広々とした田畑に青々とした稲穂の風景、この土地に人を招いた時、何に感動するか。今失われつつある日本人の律儀さ、真面目さから生まれる文化、質の高いもてなし、自然の生活を見せ、感動が生まれる。10年、20年先の里づくりを目指していきたい」と意気込みを語った。
リョケンの橋本信雄本部長が「今回の設備投資の背景とポイント」を講演。それによると、「22億円投資した今回の別邸越の里のオープンは、泉慶グループ3館の相乗効果を考えている。グループ対応の『ホテル泉慶』、ワンランク上の『ホテル華鳳』、旅館の中に小規模高級旅館『別邸越の里』を造成し、安心、安全、のんびり、ゆったり寛げる空間を配した」と説明した。
東眞リョケン相談役は、「心がなくなっている時代の中で、癒し、人間再生ができる場所は旅館しかない。『感動する心』『感激する心』『感謝する心』をどう与えていくか。経営者は企業に対する強い信念と自信を持ち、リーダーシップを発揮してほしい」と結んだ。
桑原孝夫リョケン会長が「来年の旅館の経営指針」を発表した。それによると、平成20年を「経営維新の時代」とし、「世の中はめまぐるしい変化を見せている。第1の転換期は明治維新、第2は第2次世界大戦の終戦、そして第3が現在進行中の『今』。今まさに『平成維新』という転換期の最終章を迎えている。今回の転換期はグローバル化という得体の知れない外圧によって企業社会の構造転換を迫るものだ。日本経済の今後の行方は、企業の構造転換の成否にかかっている。この業界も変革期に入っている。厳しい時代でもあるが、チャンスでもあるので、積極的にチャレンジしてほしい」と訴えた。
2日目は「平成20年旅館の経営指針」の重点課題と具体的な対策事例を「商品計画」「営業活動」「運営」の部門ごとに、リョケン研究員が解説した。厳しい時代だけに熱心に聞き入る参加者の姿が目立った。
来年度第1回セミナーは4月8、9日に神奈川県箱根湯本温泉のホテル河鹿荘で開催予定。
飯田社長が自館の経営戦略を講演