「桜」や「新元号」テーマに企画
今年のゴールデンウイーク(GW)は新天皇の即位に伴って4月27日(土)から5月6日(月)までの10連休だ。旅行をするなら国内よりも海外に目が向きがちと見られていたが、国内旅行も活況を呈している。かつてない10連休だけに旅行会社の企画力の見せ所だ。大手旅行会社各社に「10連休ならではの旅」のプランを聞いた。
GWの国内旅行の売れ行きは「最新の状況で前年の約2倍(人員ベース)。売れ筋方面は1位が沖縄、2位が東京・東京ディズニーランド(TDR)、3位は北海道」とJTB。KNT―CTホールディングスも「KNTメイト、クラブツーリズム(CT)国内ツアーとも好調。方面によりバラつきはあるが前年2倍以上で推移」と話す。ほか東武トップツアーズや阪急交通社も2倍と回答。日本旅行の国内企画商品「赤い風船」は約2.6倍と高い伸び。首都圏からロング方面となる北海道や沖縄が好調なのも各社で共通する。
各社に「10連休ならではの旅」の一押しプランを聞くと、HISは関東発では羽田発着の札幌・小樽・函館3日間添乗員同行ツアーと回答。「GW時期の北海道は、桜の開花と重なり、北海道でしか見られない固有種の桜もあり花見と温泉を満喫できる」と話す。
同様に桜鑑賞プランを推すのは阪急交通社。4月から運行開始する豪華バス「クリスタルクルーザー『菫』」を利用する5日間、7日間のコースで、東北の桜のシーズンに合わせたツアーだ。また、「京都の長期滞在は、普段長期休暇が取りづらい人にピッタリ」と勧める。
長い休みを生かしたプランはクラブツーリズムも企画した。「10連休ならでは、他にないプラン」と自信を持ってアピールするのは、関東発「日本一周夫婦旅7日間」だ。四つのフェリーに乗船して、北海道・小樽、石川県・兼六園、京都府・天橋立、福岡県・宗像大社などを巡る。
一方、「改元」をテーマにしたプランも各社が打ち出している。日本旅行では「平成と新元号をつなげる旅」を設定。その一つは、京阪神・山陽発で山陽新幹線「さくら」の2両を貸し切った九州プランで、福岡市では勅祭社「香椎宮」を参拝する。
JTBは、首都圏発で改元の瞬間を皇室とゆかりのある伊勢で過ごす添乗員ツアーを一押し。平成最後と新元号最初のお伊勢参りに出掛けるプランで、熊野三山では新元号の日付が入った御朱印をもらうことができる。
東武トップツアーズは「10連休ならではの商品は特に造成しておらず、通常の商品のラインアップ」で旅行需要の取り込みを図っている。
伸び悩む国内旅行需要の拡大を図るには旅行スタイルの幅を広げていくことも重要な取り組みの一つ。リアルエージェントがOTAなどと決定的に違うのは、旅行の企画力、市場開拓力だ。今年のGWは旅行会社にとっては、主流の1泊2日や2泊3日ではできない、周遊型や長期滞在型といった新たな旅の楽しみ方を世の中に提案して定着させるチャンスでもある。
【10連休GW旅行取材班】