小さい宿ならでは
――屋号の”かわいいお宿”とは。
「当館は昭和37年の創業で、かつては部屋数が15室ほどありましたが、両親の代になって7室に減らし、さらに5室になりました。その際に“小さい”という意味で、宿名を『かわいいお宿 雲見園』に変更しました」
――高橋専務が4代目になるのですね。
「学生の頃は野球ばかりしていましたが、いずれ宿を継ぐと決めていて、その時には料理を売りにしていこうと考えていました。京都の高級料亭で7年間修業し、4年前に家業の宿に入りました。料理は全て私が担当しています」
――自慢の料理は。
「海辺の宿ですので、やはり新鮮な魚介を使った料理です。仕入れた地元の魚介だけでなく、週1、2回、自分で漁に出ます。小型漁船『雲見園丸』に乗って、魚を釣り、その場でしめ、宿で調理します。これからの冬場はイサキやメジナを狙います。誰の手も経ずに自分で取った魚は、自信をもって提供できますし、旅人との会話もはずみます。朝食に出すひじきの煮物も、地元の海で自分たちで取り、煮上げ、干したもので自慢の逸品です」
――温泉は。
「温泉は、露天風呂、内風呂、海の見える貸し切り風呂もございます。加温・加水なしの源泉掛け流し。カルシウム・ナトリウム―塩化物泉で、なめると塩辛く、保温時間が長いのが特徴です」
――モットーは。
「公共交通ではアクセスが良いとは言えない立地ですが、『日本秘湯を守る会』の会員宿で、温泉、料理、のどかな田舎を喜んでいただける旅人に支えられています。家族経営のかわいいお宿だからできる田舎の実家に帰ってきたような温かな宿を目指しています」
【1泊2食2万円から】