「温泉おかゆ」が名物
第915回よその旅館ホテル
──元湯温泉はどのへんですか。
「塩原温泉郷の一番奥、塩原温泉バスターミナルから車で15分ほど上った所で、当館を含め、現在3軒が営業しています。平安初期、承知元年(834年)に空海によって発見されたと伝えられている温泉です」
──湯治場の伝統を残す宿ですね。
「当館にある『梶原の湯』は胃腸病によく効き、昔はこの湯を煮詰めて胃腸薬『長命丸』を製造、販売していました。今でも当時の許可証があります。館内には飲泉所があり、ぜひ飲んで効き目を実感して下さい。胃腸の調子が良くなった、肝臓の数値が改善したという声をいただいています。私は温泉入浴指導員の資格を持っているので、何かありましたらご相談下さい」
「客室は11室。うち2室が自炊部屋で、9室は賄い部屋(一般客室)です。自炊部屋は湯治目的のお客さまがメインですが、1泊3600円から(税別)と安いこともあって、土曜日などは家族連れやカップルのお客さまも利用しています」
──食事は。
「ご飯にこだわり、県大田原産『あらい宅』のコシヒカリを毎食出しています。梶原の湯を使った『温泉おかゆ』が当館の名物です。温泉成分のため、ほのかな塩味でコクがあり、もっちりと炊き上がります。朝食で出していますが、おかわりする方が多いですね。また、猪鍋も『臭みがなく、さっぱりしていておいしい』と言ってくれます」
──心がけていることは。
「笑顔で接客すること。家族経営なので、気取ることなく、家に帰ったつもりでゆっくりと過ごしていただければ」
【賄い部屋は1泊2食付き、平日8千円から(税別)】