
庭園と美術品楽しめる
――一番のうりは何ですか。
「お庭『世隔』です。庭園を囲むように建物が建っているので、ロビーや1階の露天風呂付き客室などから庭園を眺めることができます。私の一押しはロビーからの眺めです。春は桜のはかなさのある美しさ、秋は紅葉が作る錦繍(きんしゅう)のあでやかさなど、季節折々の風景がお楽しみいただけます」
――お宿の来歴は。
「元々は四条河原町で祇園祭の飾りなどを手がける刺しゅう業を営んでいた家なのですが、芸術家でもあった祖父が、1950年に薬問屋の別荘を入手して料理屋を開いたのが始まりです。おしゃれな趣味人だった祖父のところには文化人の方が集まり、サロンのような場所であったとか。その皆さんが泊まっていかれるようになったのがきっかけで、宿を始めたようです。そのご縁で館内には棟方志功や橋本関雪といった著名な芸術家の作品もあり、これもぜひご覧いただきたいところです」
「庭園やかやぶき小屋など和風の宿ではあるのですが、新しいものを取り入れるのが好きだった祖父が67年にプールを作り、以来夏はテラスでBBQを行うのが定番になっています。外来の方も受けつけていて、地域の方もいらっしゃいます。3世代でお越しになってもそれぞれ楽しんでいただける。『子どもの時に来たよ』と言われることもあり、そういった集える空間を提供し続けたいですね」
――経営する上で心掛けていることは。
「遊び心にあふれた祖父や母の残してくれたイズムを大切にしつつも、このVUCAの時代、あらゆるビジネスチャンスをキャッチできる力を付けて、動いていきたいです」
【42室、1泊2食税込み1万9千円から】