浜小鍋とレモン風呂の宿
第549回よその旅館ホテル
──宿の売りは。
「新鮮な瀬戸内の魚を使った磯料理です。京都、大阪では夏の味とされているハモですが、この辺りでは12月ごろまで取れるので『ハモしゃぶ』や『柳川風』などを楽しんでいただいています」
「この辺りは赤穂に並ぶ塩の産地として塩田が栄えたのですが、そこで働く『浜子』のまかない料理を発祥とする『浜子鍋』もお出ししています。取れたての新鮮な魚介類を地の味噌で煮込んだもので、旅館で出しているのはうちだけです」
──「レモン風呂」は珍しいですね。
「通年で、しかもレモンスライスが浮かんでいる『レモン風呂』はうちだけです。昭和39年のレモン自由化に先立ち昭和38年、国内生産量日本一のこの瀬戸田のレモンを活用しようと、当館の先代が始めました。レモンの大きさによりますが、毎日30個ほどのレモンを使います。酸が強くて普通の配管ではだめなので、うちの風呂は特別仕様です。女性の方は『化粧のノリが良くなる』とおっしゃいます」
──客層は。
「しまなみ海道ができがらりと変わりました。自転車で回れることもあってか、20代、30代の方が多くなりました。広島、岡山、兵庫の方が中心ですが、中には3日の休みが取れれば必ず来てくださる埼玉の方などもいます。遠方の方もレンタカーなどで来られるので、今は9割が車でお越しになります。予約は8割がネット経由になっています」
──課題は。
「しまなみ海道も当館も外国のガイド本に載っているようで、最近外国の方が増えました。身振り手振りでやっていますが、やはりお客さまと意思疎通できるようにしたいですね」
【15室、1万2千円(税別)から】