和モダンの山の宿
第673回よその旅館ホテル
──長い歴史をお持ちだそうですね。
「志津はかつて、出羽三山参詣のための宿場町でした。当館も番所ができた当初から行者宿を営んでいましたので、約400年の歴史があります」
──懐かしさを感じさせる館内ですね。
「05年に新設した新館は、吹き抜けの『囲炉裏ロビー』など、先代の頃の昔の建物をイメージして作りました。館内には先代から受け継いだ品のほか、月山和紙を使った手作りのランプなどを各所に配して、懐かしい中にもモダンな雰囲気づくりを心掛けています」
「新館は各部屋とも、『ナラ』『ブナ』など部屋の名前にちなんだ木材をそれぞれインテリアに使っています。特に無垢材を使った家具が人気で、家具目当てのお客さまもいらっしゃるんですよ」
──食事は。
「月山で取れた山菜やキノコなど、旬の地元の食材をふんだんに使った、手づくりにこだわった料理をお出ししています。香り高いそばを、月山の山菜、キノコをどっさり入れた汁につけて味わっていただく、『月山山菜そば』も人気です」
──客層は。
「個人客、グループ客などさまざまです。県内だけでなく、関東など県外からもお越しになります。リピーターも多いです。大半は当館のホームページ経由や電話で直接予約いただいています」
──経営の課題は。
「オフシーズンである冬の誘客です。スノートレッキングや『雪旅籠の灯り』などのイベントで増えてはいますが、まだ弱いので取り組みが必要です」
「出羽三山信仰に関する歴史や文化が残る地域なので、それらを守りつつ、魅力を伝えていけるような工夫も必要だと考えています」
【13室、1泊2食1万1500円から】