激流望む、アユの宿
第800回よその旅館ホテル
──闘竜灘について教えてください。
「加古川の中流、300メートルほどにわたって奇岩、巨岩が連なっており、そこを激流が越える様子が躍動する巨竜のように見えることから名付けられた名勝です。当館は闘竜灘が眼前に広がる場所にあり、全客室と大浴場、レストランから勇壮な眺めが楽しめます」
「闘竜灘は激流を遡上する『飛びアユ』の名所として知られ、今も伝統漁法の『筧(かけひ)漁』を見ることができます。巨石で滝のようになった流れを避けて人工の滝を遡上するアユを、かごに落とし込むものです」
──宿の売りは。
「料理旅館ですので、料理にこだわっています。特に目の前が川ですので、アユの季節はアユがメーンです。闘竜灘は日本で最も早い5月1日にアユ漁が解禁になります。解禁から10月末までは『鮎づくし会席』などでさまざまな料理法のアユを堪能していただけるのですが、淡泊で繊細な味わいは、やはり塩焼きで楽しんでいただくのが一番ですね。アユ以外にも、瀬戸内の新鮮な魚介など播州の素材を使った京風会席もおすすめです。冬はボタン鍋が人気です」
──客層は。
「京阪神のシニアの方が中心で、半分以上がリピーターです。また周辺に当館のような和風旅館はありませんので、官公庁の会合、冠婚葬祭など地元のお客さまの利用も大切にしています」
──経営の課題は。
「人手不足です。当館は地元の大切な会合なども多いので、それにも対応できる人材の確保が重要です。原価率が上がっても価格に上乗せできず、従業員の給料も上げられない中、いかに良い人材を確保し、長く勤めてもらうかが悩みどころです」
【6室、1泊2食1万5千円から】