不感温度の秘湯の湯
第960回よその旅館ホテル
──名前の由来は。
「江戸末期に旅の尼僧さんが逗留され、当家の仏壇の奥にありました観自在菩薩様から自在の名前を提案され、いただきました」
──ラジウム温泉が特徴ですが。
「放射能泉で36度のぬるい源泉。400年以上前から湯治として利用され、長い方は1日6、7時間浸かります。不感温度の湯は長湯に最適で、副交感神経を刺激し良いといわれます。江戸時代になってからも湯の効能を知る農民は、湯治場から離れることができなかったとのことです」
──料理は。
「4月から湯治の食事だけを提供しております。1泊の観光旅行では非日常を求めて旅に出られますが、湯治のお客さまは1週間ほど滞在されます。定食の形を取り飽きないように毎日内容を変えて提供しています。名物の鴨鍋やイワナの炭火焼は、追加の料理として用意しております」
──客層は。
「週末は、ご夫婦、家族連れ、一人旅で40代までの方が7割。平日は、湯治目的の60代以上の方が7割です」
──予約方法は。
「主に電話、日本秘湯を守る会からです」
──サービスで心掛けていることは。
「湯治は、お風呂に入るにも時間が掛かります。サービスをし過ぎなかったり、早めのチェックイン、入浴時間を長めに取るなどして、のんびりゆっくりと滞在できるよう心掛けております」
──課題は。
「源泉や山の宿を守るために経費がかかります。大安売りはできませんが、ここにしかない温泉をより良くお客さまに提供し、宿の個性や価値を分かるように伝えることを大事にしています」
【1泊2食付き9100円(税別)から。※2泊以上8100円(税別)から】