キジと「自遊」を満喫
第906回よその旅館ホテル
──宿の売りは。
「キジ鍋をはじめとしたキジ料理です。先代である4代目と女将が、『笠置の名物になる料理を』と40年ほど前にキジ肉を使った鍋をお出しするようになったのが始まりです。キジ鍋は今では町の名物として定着しています。フルコースでは、キジ鍋のほかに、塩焼き、お造り、たたき、釜飯などさまざまな調理法で、キジ肉を堪能していただけます」
──立地を教えてください。
「京都と奈良の県境、笠置山の山中にあります。修験行場だった笠置寺の門前に、1890年に創業しました。奈良からは電車や車で30分、京都、大阪からも1時間ちょっとで来られる場所なのですが、秘境のような豊かな自然が残っており、桜や紅葉の名所もあります。また笠置山には、日本最古最大の線形摩崖仏である『虚空蔵磨崖仏』や『太平記』にも出てくる後醍醐天皇の行在所跡など、見どころもたくさんありますよ」
──客層は。
「キジ料理を楽しみにいらっしゃる方も多いですが、一番は吹奏楽などの音楽関連やダンスなどの趣味の会の方です。学生サークルやゼミ合宿も来ます。当館は家族経営の小さい宿ですが、お客さまの要望にお応えする形で約30年前から、50畳の多目的ホールや囲碁・将棋用の対局室、茶室などを充実させてきました。お客さまそれぞれに合った楽しい時間を過ごせる宿ということで、『自遊宿』と称しています」
「旅行会社とのお付き合いはなく、大半がリピーターのお客さまです。趣味の会、学生団体のお客さまは年間を通していらっしゃいます。中には年に2回お越しになるグループもあるんですよ」
【7室、1泊2食税別1万1千円から】