――お宿の特徴は。
「西本願寺裏の静かな住宅街にある小さな宿です。本館の隣には2階建ての貸切別邸があります。別邸の1階には、裏千家の御家元さまから命名いただいた茶室『静佳庵』があります。建材からこだわった本格的な数寄屋造りの茶室になります」
「私は長年お茶を学んできましたが、宿では茶道を押し出してはいませんでした。旅館を継いでもいいと言っている息子が、『日本文化のポータルサイトである茶道に触れられる場として、旅館には茶室が必要だと思う』と言い出したことなどがきっかけで、昨年お茶室を新設しました。今は、料亭仕込みの茶懐石や京会席など京都らしい雰囲気を味わえることに加え、お客さまを茶室でお迎えできることを、宿のアピールポイントとしています」
――「やさしい茶会」を開かれているとか。
「さまざまな方にお茶の『やさしい時間』を体験していただきたいと思い行っています。お茶室に入るときの作法や、お床、お花の拝見、お茶室のしつらえなども丁寧に説明しながら進めるので、初めての方でも安心して気軽にご参加いただけます。参加したことで『茶道を始めてみたくなった』との声もあり、うれしいことです」
――客層は。
「今は欧米の個人客が9割を占めています。日本人のお客さまは年末年始のリピーターなどわずかです」
――経営の悩みは。
「値付けです。今は円安もあり、海外のお客さまが大枚をはたいて来ていますが、円高が進んできたらどうなるか。また宿泊価格の高騰やオーバーツーリズムの報道のひとり歩きにより、日本人の京都離れが進んでいる実感もあり、悩ましいところです」
【13室、1泊2食税込み3万1900円から】
