◎…大学の観光系学科で教鞭をとる研究者ら約400人で組織する日本有数の観光系学会のトップにこの7月就任した。東洋大学国際地域学部国際観光学科教授、同大学現代社会総合研究所所長の肩書を持つかたわら、全国旅行業協会理事、国土政策研究会理事を務めるなど公職も多い。世界のリゾートに造詣が深く、サスティナブルツーリズム(持続可能な観光)、リゾート開発のあるべき姿を日々追求している。
◎…毎年12月、ゼミの学生を連れて南太平洋のフィジーに研究旅行に出掛ける。同国の離れ小島、マナ島の自然と共生するリゾートホテルと、大型ホテルが立ち並ぶ同国屈指のリゾート地の対照的な姿を学生に見てもらうためだ。「巨大なメガホテルチェーンが世界のリゾートを席捲している。だが、地域住民のコミュニティを分断したり、自然を壊したりと、破壊的なことをしている。これでよいのかという疑問を常に持っていた」。フィジーでは伐採されたマングローブの林を復活させるための植樹活動も5年前から始め、今では相当大きな林に育ったという。「地域に貢献するとともに、先進国側の人間として、カーボンオフセットにも積極的に取り組まねばならない」。その活動は机上の研究にとどまらない。
◎…休日は那須の山小屋で愛犬・愛猫と過ごしたり、イワナやヤマメの渓流釣りを楽しむアウトドア派。「こういう研究をしているので、自己矛盾のようなことをしたくないから、ハワイに行ったり、豪勢なリゾート地に行ったりするのははばかられるね」。
【聞き手・森田淳】