国内有数の強酸性硫黄泉
紅葉や樹氷などの絶景が自慢
日本武尊(ヤマトタケル)の東征に従軍した吉備多賀由(キビノタガユ)が発見したとされ、約1900年の歴史を刻んできた蔵王温泉。山形市の中心部から車で約40分の近さながら、東北最大級の本格マウンテン&スノーリゾートとして、温泉や四季折々の絶景が人気を集めてきた。
蔵王温泉と言えば、pH1.25~1.6、国内では第2位と言われる強酸性の硫黄泉で知られるが、実は塩化物泉、硫酸塩泉、含鉄泉の成分も含む珍しい温泉だ。天然の保湿成分と言われる「メタケイ酸」も200ミリグラム/キログラム含有。体内の活性酸素を抑える「還元系」温泉であり、硫黄泉の持つ抗酸化力の効果と併せて「若返り」が期待できる。
自然湧出毎分5700リットルの豊富な湯量は全国7位。湯の香漂う温泉街の旅館ホテルなどで温泉をたっぷりと楽しめる。高湯通り沿いにある「上湯」「下湯」「川原湯」の三つの共同浴場はじめ日帰り入浴施設もあり、湯めぐりできるのも魅力だ。
9月下旬からは山頂付近から紅葉が始まり、山全体が錦繍に包まれる。蔵王温泉には三つのロープウエイがあり、いずれからでも鮮やかな紅葉が広がる景色を上空から一望できるのが魅力だ。ロープウエイを降りた後、ひんやりとした空気を感じながら、エメラルドグリーン色の湖面が美しい「ドッコ沼」「いろは沼」周辺などを散策するのもおすすめ。温泉街の近くにも酢川温泉神社や静かな湖面に映る紅葉が美しい「鴫の谷地沼」など、紅葉スポットが点在する。
ロープウェイから望む一面の紅葉は圧巻
また蔵王温泉のシンボル的存在でもある「蔵王温泉大露天風呂」で、清涼な空気と紅葉に包まれながら温泉を楽しめるのも、秋ならでは。10月までの一部土日祝日には夜間営業も行う。
そして蔵王と言えば何と言っても冬の「樹氷」だ。ロープウエイを利用してスキーなどで滑走しながら樹氷鑑賞を楽しむのが醍醐味(だいごみ)だが、「かんじきツアー」も面白い。近年はスキーとスノーシューの良いところを併せ持つ「スノーハイク」を使い、霧氷などを鑑賞するガイドツアーも人気だ。
近年は樹氷となる木「オオシラビソ」の立ち枯れなどにより、樹氷の形成に危機的状況となっており、蔵王温泉の各旅館ホテルでは、樹氷保全のための募金や募金付き宿泊プランなどを行っている。世界でも類を見ない樹氷の景観を将来に残すべく、まずはその価値を体感しに、蔵王温泉に足を運んでみてはどうだろうか。