旅行会社から観光流動創造会社へ
DP、地域連携創出で新部署
びゅうトラベルサービス(VTS)は1日、来年4月に向けた「販売機能の変革」「店舗機能の変革」の二大変革の総仕上げとして、組織を刷新した。従来の営業企画本部を再編し、新たに販売機能を担う「ダイナミックレールパック(DP)本部」「ツーリズム推進本部」を新設。業務管理本部は、店舗機能の変革に携わる部署として、顧客接点型拠点「駅たびコンシェルジュ」の業務支援を行う。JR東日本グループ内での観光流動を創造する役割を担う。
旅のあらゆる場面で「価値」を提供
組織改正では、販売機能の変革に取り組む新たな中核部署としてダイナミックレールパック(DP)の企画、販売などWeb販売全般を担う「ダイナミックレールパック本部」、エスコート商品、地域連携を担う「ツーリズム推進本部」のほか、「経営企画本部」「法人営業本部」「インバウンド戦略本部」「東北・北海道統括支社」「北陸支社」を新設した。森崎鉄郎社長は「With/Postコロナ時代に適応した会社として、新たな組織により販売機能、店舗機能の二大変革をより一層スピード感を持って取り組む」と話す。
VTSは、JR東日本が人口減少や自動運転技術の進歩など経営環境の変化に対応するために掲げたグループ経営ビジョン「変革2027」を達成するため、グループ内の観光流動創造会社として販売機能、店舗機能の変革の来年4月の達成に向けて推進している。
販売機能の変革では、従来販売していた「びゅう個人型商品」の造成を今年度で終了し、鉄道と宿を自由に選べるダイナミックレールパックを中心としたWeb販売に注力。エスコート商品も強化し、個人旅行では実現できない旅へのニーズにも対応する。宿泊在庫は従来のブロック在庫から共通在庫化し、鉄道、ホテルを価格変動するなどユーザビリティを向上させる。
店舗の変革では、従来主に旅行商品や個札の販売を行っていた「びゅうプラザ」から駅たびコンシェルジュへと変換。来年4月までに25拠点を開業する。大人の休日倶楽部会員や訪日外国人を中心に、旅の案内やフォローなど顧客接点の役割を担う。また、セミナーや拠点間をつないだオンライン接客を行うなど、リアルとWebの融合を実現する。
森崎社長は「旅を売るだけでなく、旅のあらゆる場面で『価値』を提供できる企業を、社内が一丸となり目指す」と未来を見据える。また、JR東日本グループならではの資源である大人の休日倶楽部やクルーズトレイン「トランスイート四季島」、駅のにぎわいなどを生かし、地域連携の推進、自治体やDMOなど地域戦略を目的とした組織や企業体との協業にも取り組む。
森崎社長
駅たびコンシェルジュの運営
2022年4月から、これまで駅できっぷや旅行商品の「うりば」として役割を担ってきたびゅうプラザの営業を終了し、JR東日本が管内25カ所に設置する「駅たびコンシェルジュ」の運営を担う(7月1日現在は、川崎、秋田の2カ所に設置)。収益業務としてエスコート商品の販売(一部拠点は対象外)は行うが、受託業務をメインにJR東日本グループや地域の顔として安心と旅の魅力の提供を行う。
駅たびコンシェルジュでは機能として、(1)大人の休日倶楽部会員相談(2)アクティブな案内による到着時・出発時フォロー(3)JR東日本が提供するサービスの案内(4)ダイナミックレールパックの操作案内(5)面的「つながり」を活用した拠点連動型の情報発信(6)事前来店予約システムを活用した面的フォローを中心に、趣味の会講座や街歩き企画なども実施する。
「従来は収益業務をメインとしてトラベルサービスマン的な役割を担っていたが、駅たびコンシェルジュではNo.1ツーリズムアドバイザーを目指す」とVTS。